Metaが日本の投資詐欺広告で4億3500万円の訴訟に直面
FacebookやInstagramを運営するMetaが広告の真偽を確かめることを怠ったために、著名人を装った投資詐欺の被害に遭ったとして、日本の30の個人と法人が合計約4億3500万円の損害賠償を求めてMetaとMetaの日本法人を一斉提訴しました。
偽投資詐欺、メタ社を一斉提訴 「調査怠った」と計4億円請求|47NEWS(よんななニュース)
https://www.47news.jp/11692828.html
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241029/k10014622641000.html
「著名人なりすまし広告を放置」30人がメタを一斉提訴 全国5地裁 | 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20241029/k00/00m/040/145000c
共同通信などによると、提訴先はさいたま、千葉、横浜、大阪、神戸の5地裁です。大阪地裁に提訴した8人は実業家の前澤友作氏や堀江貴文氏らになりすました偽の投資広告を閲覧。広告をクリックするとLINEのグループに誘導され、「アシスタント」を名乗る人物に促されるままFXや仮想通貨への投資として現金を送金したとのことです。
原告らは、「Metaには、広告が『ユーザーに損害を与えるリスクがある』と予見できる場合は広告の掲載を許可しない義務がある」と主張しています。
FacebookやInstagramには有名人の顔を勝手に使った広告が配信されており、ほとんど無法地帯と言っていい状態です。前澤友作氏や堀江貴文氏をはじめとする著名人もなりすましの被害を訴えていますが、原告いわく「Metaは本格的な対応を取らなかった」とのことです。
2024年4月、Metaは投資詐欺広告について「長年にわたり大規模な投資を行い、利用者を詐欺から守るための多面的な対策を講じている」とする声明を発表し、詐欺広告があふれている状況については「世界中の膨大な数の広告を審査することには課題も伴う」と釈明していました。
Metaがついに詐欺広告について声明を発表するも改善案なしで「世界中の膨大な数の広告を審査することには課題も伴います」と言い訳するのみ - GIGAZINE
SNSにはびこる投資詐欺広告について、2024年4月時点で消費者庁は「現在の景品表示法の規制対象にはならない」との見解を示しています。
同年6月時点で、金融庁は「金融商品取引法に違反する可能性がある」としています。また、SNS上の投資詐欺が疑われる広告等についての相談窓口を開設し、注意喚起を実施しています。
SNS上の投資詐欺が疑われる広告等に関する情報受付窓口の設置等について:金融庁
https://www.fsa.go.jp/receipt/toushisagi_koukoku.html
警察庁によると、SNSで著名人を装って投資を促す「SNS型投資詐欺」の被害額は、2024年1月〜8月だけで641億4000万円に上っているとのこと。
警察庁による同年1月〜6月のまとめでは、SNS型投資詐欺の被害者総数は3570人に上り、そのほとんどが50代以上であることも示されています。
最初に被害者へ接触する手段としてはLINE、Facebook、Instagramが多く、被害時の通信手段はLINEが90%以上を占めています。
なお、Metaは投資詐欺広告への対抗手段として「広告に写っている有名人の顔と、有名人のFacebookやInstagramのプロフィール写真を比較して広告をブロックする顔認識システム」を導入するとしていますが、これは顔写真をMetaに登録していなければ機能しないため、根本的な解決策にはなり得ません。
FacebookやInstagramで横行する「有名人の顔を無断使用した詐欺広告」の対策に顔認識システムを導入することをMetaが発表 - GIGAZINE