InstagramやTikTokなどのソーシャルメディアは未成年にも高い人気を誇る一方で、「子どものメンタルヘルスに害を与える」とされたり、「未成年者保護施策が不十分」と欧州委員会が調査結果を示したりと、有害性が指摘されることもあります。イギリスの通信社であるロイターの報道によると、ブラジルの消費者権利団体は2024年10月28日、TikTokやMetaに対し30億レアル(約800億円)の損害賠償を求める訴訟を起こしました。

Brazil institute sues social media giants for $525 mln over usage by minors

https://www.reuters.com/technology/brazil-institute-sues-social-media-giants-525-million-over-excessive-use-by-2024-10-28/



ブラジルではSNSに対する規制が積極的に行われており、2024年8月にはブラジル最高裁がX(旧Twitter)に国内でのサービス停止命令を下しました。最終的に10月初頭にはXのサービス再開が許可されましたが、担当判事は、ブラジルの法律の完全な順守と「国家主権を尊重し、司法の決定を絶対的に順守すること」が活動再開の条件であると強調しています。

ブラジル最高裁がX(旧Twitter)の復活を承認、司法への絶対服従と引き換えに - GIGAZINE



ロイターによると、ブラジル最高裁判所とXの争いにより、ブラジルではソーシャルメディア規制が大きな話題となっているそうです。Xがブラジルでのサービスを再開した約半月後となる2024年10月28日に、ブラジルの消費者権利団体・集団防衛研究所は、TikTokやMeta、および中国産のショートビデオアプリであるKwaiに対し、損害賠償を含む2件の訴訟を起こしました。

訴訟では、集団防衛研究所が企業に対し、「未成年者によるこれらのソーシャルメディアプラットフォームの無差別な使用を防ぐための仕組みを構築しなかった」と主張した上で、明確なデータ保護の仕組みを構築し、プラットフォーム依存による子どもや若者の精神的健康へのリスクについて警告を発するよう求めています。訴訟はソーシャルメディアの使用のリスクを実証した複数の研究に基づいているそうです。

原告の一人である弁護士のリリアン・サルガド氏は訴訟に際し「より安全で健全な体験を保証するために、アルゴリズムの動作方法、18歳未満のユーザーのデータの処理方法、13歳以上の若者の監視とアカウント作成方法を変更する措置を早急に講じる必要があります」と述べました。

訴訟を受けてMetaは「若者が当社のアプリで安全かつ年齢相応の体験をできるようにしたいと考えています。当社は10年以上にわたりこの問題に取り組んでおり、10代の若者とその保護者を支援するために50以上のツール、リソース、機能を開発してきました」と声明で述べました。同時に、MetaはInstagramに新しく10代の若者が閲覧できるアカウントや連絡できるアカウントを自動的に制限する「ティーンアカウント」という機能を発表し、間もなくブラジルでも導入予定だと発表しています。

また、Kwaiは声明で「特に未成年者に関しては、ユーザーの安全が最優先事項の一つです」と述べました。一方で、TikTokは本件について何の通知も受けていないと回答しています。