長崎の頼れるキャプテン秋野。昨冬に契約満了となるも異例の再加入を果たし、力強く牽引している。写真:田中研治(サッカーダイジェスト写真部)

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 2018年以来のJ1昇格を目ざす、V・ファーレン長崎でキャプテンを務めるMF秋野央樹にインタビューを実施。ベストゲームや憧れていた選手、オフの過ごし方など、多種多様な話題を掘り下げ、知られざる素顔に迫った。

 正確な左足と非凡な展開力が売りの秋野は、地元千葉の柏レイソルでアカデミー時代を過ごし、2013年に同クラブのトップチームに昇格した。

 その後、湘南ベルマーレを経て、2019年の夏に長崎に加入。J1へ押し上げる即戦力として活躍が期待されたが、度重なる怪我に苦しめられ、長崎在籍4年半のうち約3年弱をリハビリに費やすなか、昨季終了後に契約満了となった。

 しかし、柏アカデミー時代に教えを受けた恩師、下平隆宏監督の就任により、年明けに再契約。復帰した身で迎えた今季は、主軸として重要な役割を担っている。

 まさに山あり谷あり――。実に様々な経験をするなか、今月8日に30歳となった。ひとつの節目を迎えた今、記憶に残っている試合やチームメイトから尋ねた。

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――プロ12年のキャリアで公式戦250試合以上に出場している秋野選手ですが、ベストゲームを1つ挙げるとしたら、どの試合になりますか?

「湘南にいた時の2018年のルヴァンカップ決勝ですかね。個人的にはあんまり内容が良くなかったんですけど、念願のタイトル獲得に少しは貢献できたのかなと思います」

――ベストチームメイトはどうでしょうか? 呼吸が合い、一緒にプレーしやすいというような。

「最近だと安部大晴です。距離感が良いですね。『ここに立ってほしい』と言わなくても『あっ、そこいてくれるよね』とか、『ここ走ってくれたら助かるな』ってところにいてくれます。同じ左利きってのもあって、テンポも合いますし、お互いにノンストレスでプレーし合える選手かなと思います」

――やんちゃといいますか、強烈なキャラクターで印象的なチームメイトは?

「山田陸ですかね。やんちゃですよ。言えないエピソードばっかりです(笑)」

――憧れの選手はいましたか。

「最初に親に買ってもらったスパイクが、小野伸二選手が履いていたもので、それから小野選手に憧れていたというか…今みたいにサッカーをすぐ見れる環境ではなかったので…。でも、小野伸二選手のスパイクを買いたいと言って買ってもらったのは覚えています」

――幼少期に特に見ていたチームでいうと、やはりレイソルでしょうか?

「そうですね。小学生の頃からずっと、ホームで試合があると必ず見に行っていました。中学生、高校生ぐらいになってくると、バルセロナの試合をほぼ毎試合見ていましたね」

――外国の選手で特に見ていた選手は?

「僕はボランチなので、セルヒオ・ブスケッツ、シャビ・アロンソ、アンドレア・ピルロとか、そういう選手たちを見てきました」

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 秋野はピッチ上ではキャプテン、ピッチ外では父の顔を持つ。

 2021年9月に第一子が誕生した際は、「産まれて初めて息子の顔を見た時、こんなに愛おしい存在がいるのかと胸が熱くなり、この子のためにもっと頑張ろうと思いました。今はなかなか怪我が治らず本当にもどかしく、悔しい日々を過ごしていますが、今回妻と息子からもらった大きなパワーをエネルギーに変え日々精進します。一家の大黒柱として家族を支え、V・ファーレン長崎のキャプテンとして1日でも早く復帰し、チームを支えられるように頑張ります。これからも応援よろしくお願いします!」とメッセージを寄せていた。

 やはり、愛する家族は非常に大きな存在のようだ。

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――オフはどうのように過ごしていますか?
 
「子どもと一緒に過ごしています。オフに限らず、練習から帰っても基本的に子どもと遊んでいますね。子どもといるとサッカーを忘れますし、癒されます。ただ、温泉に行ったりもします。雲仙や小浜など車で1時間走らせれば、長崎はどこでも温泉があります」

――直近でハマっているものに限らず、30年の人生を振り返ってみて趣味と言えるものはありますか?

「趣味ね…ないんですよね。基本、Jリーグでも海外でもサッカーを見るのが好きですね。子どもが生まれてから頻度は減りましたけど、基本的にはサッカーを見たいタイプです」

――他に見たりするスポーツは?

「ないですね(笑)。ただ、今、長崎に長崎ヴェルカっていうバスケのチームができたので、行ってみたいなとは思っています」

――長崎ヴェルカの選手と交流はあったりするのでしょうか?

「何人か交流している選手もいるみたいですけど、僕は全くないです」

――お気に入りの曲や、試合前に聴くような曲はありますか?

「本当に聴かないんですよね。だから僕、有料の音楽サイトとかを入れたことがないし、別になくても大丈夫な人です」

――サッカー選手は移動が多いので、Netflixなどに加入し、空き時間に映像を見ている選手が多いイメージがあります。そういった映像配信のサブスクも未加入ですか?

「NetflixとAmazon Prime Videoは入っています。『ラブ トランジット』っていうAmazonの番組は面白かったですね」

――バイブルはありますか? バイブルと言うと本のイメージが強いですが、本に限らず、今までで最も刺さった人生の1本を教えてください。

「ちょっと古いんですけど、木村拓哉さんが出ていた『プライド』です。多分、何回も見ています。かっこいいですね」
 
――好きな女性タレントはいますか? 去年と一昨年は、サッカーダイジェストの選手名鑑で芳根京子さんの名を挙げていましたね。

「シンプルに可愛いです。『表参道高校合唱部!』というドラマがあって、それを見て『可愛いな』と思ったのが最初のきっかけですね」

――偉人、有名人、あらゆる人を含めて、もし誰でも会えるなら、誰に会いたいですか?
 
「亡くなってしまったんですけど、レイソルの先輩、工藤壮人君にもう1回会いたいです。レイソルのトップチームでも一緒にやりましたし、僕が中2の時に高3にいて、その時も一緒にプレーさせてもらいました。プロになってからは食事に連れて行ってもらったり、お家に招待してもらったこともあります。工藤君と話していると元気をもらえました。時には厳しい言葉もありましたけど、そういうパワフルさだったり、人としてどうあるべきかをたくさん学べたので、もう一度遭いたいなと思っています」

――たくさんの質問に答えていただき、ありがとうございました。最後に今季の残りの試合に向けて、メッセージをお願いいたします。

「新スタジアム、そしてファン・サポーターの力をしっかり自分たちの力に変えて、最終的にどんな形であれ昇格を成し遂げたいです。この長崎でまたこうやってプレーしているのは自分にとって当たり前じゃないですし、このクラブに何かを残すとなったらJ1昇格しかありません。それが『ありがとう』って言葉にもなると思いますし、それをまずは成し遂げたいと心の底から思っています」

取材・構成●有園僚真(サッカーダイジェストWeb編集部)