住民「自宅がひどいところで18cmも」 岐阜のリニア工事周辺で止まらぬ地盤沈下、JR東海の対応は
岐阜県瑞浪市の地盤沈下問題。リニア中央新幹線の工事をしていたJR東海が調査を続けていますが、住民の暮らしが脅かされています。
Q.ひび割れが入ったのはいつごろ?
「6月ごろから徐々に」そう話すのは、瑞浪市大湫町に住む大内延男さん。
自宅の地面が、少しずつ斜めになってきてしまっているといいます。
この地域で起きている地盤沈下。この春、井戸水の水位低下などが発覚。さらに複数の場所で地盤沈下も確認され、地元住民に衝撃が走りました。
「これが井戸水。小学生の頃から使っていて愛着があり、まさか枯れるとは」(大湫町の住民)
JR東海が進めているリニア中央新幹線のトンネル工事が原因とみられ、周辺の地域で被害が確認されています。
JR東海は、9月から家屋調査を実施し、柱の傾きや壁のひび割れなどを調べています。
住民「18センチぐらい下へ沈んでいる」今年7月ごろ、自宅の敷地が沈みコンクリートにひびが入っていることに気付いたという大内さん。
「一番ひどいのはここ。18cmぐらい下へ沈んでいる」(大内さん)
大内さんによると、自宅敷地内の地盤沈下はいまも続き、家の各所に影響が及んでいるといいます。
Q.地盤沈下が進んでいることをどのように感じている?
「やっぱり心配だね。これ以上トンネルを掘ったら、まだひどくなるんじゃない」(大内さん) 住民、JR東海に「しっかりとした説明を」「地盤沈下が進行しています。住民の方の不安も非常にある。この現象と地下水低下との相関についてご審議いただければと思います」(岐阜県 環境生活部 渡辺幸司 部長)
29日、岐阜県で開かれた専門家会議では、周辺の地盤は5月と比べて最大で4.9cm沈下し、この1カ月の間だけで1.2cmも沈下が進んだというJR東海の調査結果が明らかにされました。
専門家からは、トンネル工事に伴う周辺の水位の低下と地盤沈下には関連があるとする指摘が上がりました。
大内さんは、JR東海にしっかりとした説明を求めたいといいます。
Q.JR東海は調査や意見を聞きに来た?
「聞きには来ている。調査している。どれくらい下がっているか、まだ結果が届いていない」(大内さん)Q.調査の説明を聞いて意見する場は?
「あればいいんだけど、それがないからみんなも納得がいかない。『みんなが納得いけば工事を進めてもいい』とは誰でも言うんじゃない」(大内さん) JR東海社長の説明は29日の会見でJR東海の丹羽俊介社長は――。
「10件程度の住居の不具合の申し出もいただいている。トンネル掘削による地下水位の低下の影響は否定できないと考えている。(岐阜県環境影響評価審査会の)助言も参考に地表面の低下の原因調査を進めたい」(丹羽社長)
リニアのトンネル工事が原因である可能性を改めて認めたうえで、原因究明を進めるとしました。
一方、被害を受けた住民への説明などは――。
「周辺にお住いの方に対しての説明をする。いろいろなお声をお聞きするのは大事だと考えている。コミュ二ケーションを丁寧に行いたい」(丹羽社長)
被害者から聞き取りなどを進める方針を強調しましたが、補償など具体的な内容には触れませんでした。
そして、各地で工事が遅れるなかでのリニアの開業時期については――。
「現時点で新たな開業時期を見通すことができない状況が続いている。静岡工区に一日でも早く着手したいと考えている」(丹羽社長)