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全米小売業協会(NRF)は、2024年11月〜12月の売上高が前年より2.5〜3.5%増加すると予測。

インフレの影響で消費者はセールを重視し、広範なプロモーションが展開される見込み。

デジタル売上高が増加予測される一方、BFCM遅延で配送期間が短縮される課題が浮上。


全米小売業協会(The National Retail Federation、NRF)が10月中旬に発表した今年のホリデーシーズン予測によると、2023年と比べて、消費者は11月と12月のホリデーシーズンの買い物に250億ドル(約3兆7500億円)多く費やすと予測されている。

NRFのレポートによると、2024年11月1日から12月31日までのホリデーシーズンの売上高は2.5〜3.5%増加して9900億ドル(約148兆5000億円)に達する可能性がある。これは、2023年末の2カ月間の9644億ドル(約144兆6600億円)を上回る。

NRFのチーフエコノミストであるジャック・クラインヘンツ氏は記者会見で「消費者支出はかなり安定してきており、しばしば回復力があると表現されるが、より適切にいうなら『持続的』かもしれない」と述べた。「今年の大半を通じて、消費者が経済全体を継続的に支えてきた」。

たとえば、今年1月から8月までの売上高は前年比で3.4%増加した。「堅調な消費者支出が続くと思う」とクラインヘンツ氏は述べている。「インフレと金利上昇の蓄積効果があったにもかかわらず、家庭は支出能力があることが行動により示されている。そして家計は比較的良好な状態で、間違いなく、ホリデーシーズンに向けて強力な支出を押し進める原動力となるだろう」。

失業率が4.1%であることも、ショッピングシーズンが好調であることを示す兆候だ。

それでも、NRFによるとインフレは消費者のあいだで引き続き意思決定を左右する要因となっており、値下げやセールを求める買い物客が増えている。

「昨年よりも幅広いプロモーション活動が見られると思う」と、NRFのプレジデント兼CEOのマシュー・シェイ氏は語った。つまり、消費者が抱くインフレの認識と戦うために、大型小売店ではより徹底的な値下げが行われ、専門店やラグジュアリーショップではターゲットを絞ったセールやプロモーションが行われると予想している。

「プロモーションは、ニーズや関心に基づいて、個々の消費者にターゲットを絞ってパーソナライズされ、昨年よりも多くのブランドやカテゴリーで幅広く展開されると思う」と同氏は述べた。

消費傾向と物流への課題



それでも、消費者は買い物の支出を控えていない。「まだお金はたくさんある」とシェイ氏はいい、NRFは買い物客が店舗内ショッピングからアプリベース、そしてeコマースショッピングへとシームレスに移行すると予測していると述べた。

特に明るい材料はデジタルショッピングの増加で、NRFはデジタル売上高が2023年の2733億ドル(約40兆9950億円)から前年比で8〜9%増となる2951億ドル(約44兆2650億円)に達すると予測している。

しかしNRFは、今年はブラックフライデーとサイバーマンデー(BFCM)が遅いため、ショッピングシーズンが短くなるとeコマース小売業者に警告した。今年のサイバーマンデーは12月3日になる。これにより、BFCMからクリスマスまでの平均的なショッピングシーズンは、買い物できる日数(そして、配送にかけられる日数)が6日間短くなる。

「配送期間の短縮は、消費者の利便性に対する期待や、2時間以内とはいわないまでも2日以内には確実に届くという期待に影響を与える可能性がある」とシェイ氏は述べた。「配送シーズンは短くなる。より圧縮されコンパクトになり、オンデマンド物流への期待、在庫管理と配送、配達とフルフィルメントに影響を与える。そして、小売業者側の遂行が重要視される」。

NRFは、買い物客がホリデーシーズンにどこで、いつ、どのように支出しているかについて、12月3日にさらにデータを発表するとしている。

[原文:National Retail Federation forecasts a $25 billion holiday sales boost, despite truncated shipping timelines]

Lexy Lebsack(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:坂本凪沙)