スポニチ

写真拡大

 広島・黒田博樹球団アドバイザー(49)が28日、秋季練習の視察にマツダスタジアムを訪れ、高橋昂也投手(26)に金言を贈った。低迷期を乗り越えて今季最終戦でプロ初セーブを挙げ、新境地を開いた左腕のシート打撃での投球を新井貴浩監督(47)と見守ると、登板後にカットボールの使い方などを伝授した。「オフに入る前の時期が彼らには一番大事」。秋も可能な限り、若ゴイの成長をサポートする。

 第4クール初日を迎えた秋季練習。マツダスタジアムの一塁ベンチには視察に訪れ、新井監督と話し込む黒田球団アドバイザーの姿があった。午後のシート打撃ではスタンドに移動。高橋が登板を終えると、一塁ベンチに足を運んで激励し、アドバイスを送った。

 「彼が3軍にいた時から、ちょくちょく見ていた。2年前と比べると凄く良くなっているし、しっかり努力もしている。本拠地での最終戦もいい投球でしたし、改めて“また頑張れ”と言いました」

 プロ8年目の左腕。ドジャースの山本や阪神・才木、西武・今井が同期にあたる。21年に先発で5勝。だが、以降は低迷し、9回1イニングを無失点に抑えてプロ初セーブを挙げた今季最終戦の5日のヤクルト戦が、3年ぶりの1軍登板だった。

 この日のシート打撃登板も上々だった。育成選手のラミレスに本塁打を浴びたものの、被安打はその1本。打者8人に球数30球を投げ、2三振を奪った。とりわけ光ったのが、中村健を空振り三振に斬ったカットボールだ。黒田球団アドバイザーは言う。

 「カットボールの質が凄く良かった。右打者に対して、もう少し高低の投げ分けができれば外のボールも生かすことができる。もし先発を望むのなら、そういうボールと遅いカーブを制球しながら使うことができれば、投球の幅が広がるのでは…と思いました」

 レジェンドから贈られた金言。高橋は感謝しきりだ。「気にかけてもらえるのはありがたい。カットボールを褒めていただき、“空振りを取る球と、あえて詰まらせる使い分けができたらいいな”という話をしていただきました」と目を輝かせた。同期に負けじと、9年目のブレークへの糧にする。

 新井監督に要請され「苦しんでいる選手、なかなか結果に結び付かない投手の力に少しでもなれれば」と球団アドバイザー就任を受諾し、若ゴイの成長をサポートして約2年。11月には宮崎・日南にも足を運ぶ予定だ。

 「オフに入る前の時期が、これからの選手には一番大事。時間がある時は来て、少しでも手助けができれば…と思います」

 実りの秋。来季の飛躍を願い、黒田球団アドバイザーは若手投手に本拠地で、キャンプ地で熱視線を送る。(江尾 卓也)

 ◇高橋 昂也(たかはし・こうや)1998年(平10)9月27日生まれ、埼玉県出身の26歳。花咲徳栄では1年秋からベンチ入り。2年夏から3季連続甲子園に出場し、2年夏の8強が最高成績。16年ドラフト2位で広島入団。2年目の18年に1軍デビューして1勝。19年2月の左肘じん帯再建術(通称トミー・ジョン手術)を経て、3年ぶり1軍登板の21年に5勝。22、23年は1軍登板がなかった。1メートル82、95キロ。左投げ左打ち。