【巨人】ドラ2は倍率数百倍を勝ち抜いた“神童” 小5から2年間、20競技の英才教育受けた超エリートアスリート
巨人からドラフト2位指名を受けた九産大の浦田俊輔内野手(22)が28日、福岡市内の同校で水野雄仁スカウト部長(59)、武田康チーフスカウト(60)から指名あいさつを受けた。50メートル5秒8の俊足遊撃手は首位打者、盗塁王獲得などとともに、28年ロス五輪出場を将来の目標に設定。24年パリ五輪に8人を輩出した福岡県のアスリート発掘事業出身のエリートが、プロ野球界でスタートを切る。
緊張気味だった浦田の背筋が伸びた。阿部監督の直筆サインが入ったドラフト会議のパスを受け取り、決意表明した。「15年以上活躍できることがまず1つの目標。日本を代表する選手になって、首位打者、ベストナインとゴールデン・グラブと盗塁王を取れたらいい」と言い切った。
50メートル5秒8の俊足に、福岡六大学リーグで通算打率3割9分2厘の巧打を兼ねる遊撃手。1位で同ポジションの石塚(花咲徳栄)を指名した巨人からの高評価は、大きな期待の表れだ。幼少期は巨人戦をテレビ観戦していたといい「伝統のある強い球団で、本当にうれしく思います」。水野スカウト部長は「走攻守でバランスの取れたいい選手。門脇、泉口と十分勝負できる」と太鼓判を押した。
超エリートアスリートだ。父は自衛官の秀明さん(56)、母はバレーボールで全国総体優勝経験のある智美さん(53)で、小学1年時に野球を始めた。その身体能力を見た周囲の勧めを受け、福岡・春日市の春日原小5年時に「福岡県タレント発掘事業」に選抜された。運動能力の高い児童・生徒を発掘し、世界に羽ばたく選手を育成する取り組みだ。
福岡県内から各学年約30人が集結。浦田も2年間でスキー、フットサルからなぎなたまで約20競技に取り組んできた。「フットワークや走る、投げる、打つにもつながってくるのかなと。身になったと思います」。金の卵と切磋琢磨(せっさたくま)しながら、本業の野球に通ずる土台を作ってきた。
同事業の出身者は各スポーツ界で大活躍。24年パリ五輪にはフェンシング女子でサーブル団体で銅メダルを獲得した高嶋理紗、福島史帆実ら計8人を輩出した。28年のロス五輪では野球が復活。4年後は26歳となる浦田は「活躍してからですけど。出られればいいですね」とうなずいた。
2位指名を受けたドラフトから4日。約300件の祝福と激励メッセージを受け取り「ここがゴールじゃなくて、スタートという気持ちになりました」と思いを新たにした。11月2日には明治神宮大会出場をかけた九州大学選手権の準決勝(ペイペイD)も控える。「新人王も取りたい気持ちはある。一打席一打席を大事に積み重ねることでその目標にも近づくと思います」。自慢の足で、スーパースターに駆け上がる。(内田 拓希)
◆浦田 俊輔(うらた・しゅんすけ)2002年8月30日、長崎市生まれ。22歳。小学1年で軟式野球を始め、長崎・海星では2年夏に甲子園出場。九産大では1年春からベンチ入りし、通算打率3割9分2厘、37盗塁で3度の盗塁王。171センチ、67キロ。右投左打。
◆福岡県タレント発掘事業 運動能力の高い児童・生徒を選抜し、世界レベルのアスリート育成を目指す取り組み。04年に開始し、年によっては数百倍の倍率をくぐり抜けた小学5年〜中学3年の各学年約30人に、週1度のペースで複数競技を指導する。24年パリ五輪には高嶋理紗、福島史帆実(ともにフェンシング)、内野艶和、垣田真穂、池田瑞紀(いずれも自転車)、上田百寧(陸上・やり投げ)、梶木真凜(7人制ラグビー)、部井久アダム勇樹(ハンドボール)の計8人を輩出。福岡が先駆けとなり、現在は39都道府県で同様の事業が行われている。
◆浦田に聞く
―憧れの選手は。
「坂本勇人選手です。1年目ぐらいから長年活躍されていてすごいなと思っているので、憧れの選手です」
―巨人ファンか。
「小さい頃にずっと巨人を応援してました。祖父が巨人ファンで。その影響だと思うんですけど、ずっとテレビにかじりついて見てました」
―父のスポーツ万能歴は。
「父は最初に野球をしていて、近代五種も同時にやってたんですけど。100メートルが結構速くて10秒8で。だから『自分には絶対に負けない』みたいな話をします(笑い)」
―打撃は誰かを参考にしているのか。
「阪神の近本さんです。1番バッターで自分と同じ打順。調子が悪い時でも内野安打とか四球で出れたりもしますし、ホームランも打てて本当に1番打者として魅力的だなぁと思って参考にしています」