【山村 佳子】高校時代の初恋の相手「理想的な母」が…23歳長女が目撃した”ありえない現場”

写真拡大 (全6枚)

2024年10月から、パートやアルバイトで働く人の多くが、厚生年金や健康保険などの社会保険の加入対象になった。条件は、週の所定労働時間が20時間以上、所定内賃金が月額8.8万円以上、2ヵ月を超える雇用の見込みがある、学生ではない、従業員数51人以上の企業で働いていることだ。

社会保険に加入すると、将来の年金が増えたり、医療保険の給付が充実するなどの保障が受けられるメリットもあるが、保険料の負担が増え、手取りの給与が減るデメリットもある。

政府が社会保険制度を変えたのは、いわゆる「年収の壁」対策がある。「壁」の手前での社会保険料は0円だが、年収106万円または130万円に達すると、年額で約16万円、または約27万円の負担が生じる。

そのため、働く時間を減らしたり、控えたりする人が増え、人手不足につながってしまうからだ。また労働時間が少なければ、経験を積みにくい。スキルが磨かれないために、キャリアアップができない可能性も高まる。

キャリア10年以上、3000件以上の調査実績がある私立探偵・山村佳子さんは「制度が変わると、キャリアを見直したり、義務から逃れるために職場を変える人は多いです。パートをしていた人などが転職し、それが浮気に発展することもあります」と言う。

山村さんに依頼がくる相談の多くは「時代」を反映している。同じような悩みを抱える方々への問題解決のヒントも多くあるはずだ。個人が特定されないように配慮をしながら、家族の問題を浮き上がらせる連載が「探偵が見た家族の連載」だ。

今回山村さんのところに相談に来たのは、52歳の泰則さんだ。「専業主婦を長くしていた妻がパートを始めてからおかしいんです。帰宅は遅いし外泊するし、質問すると困った顔をするだけで」と山村さんに連絡をしてきた。一体何があっただろうか……。

山村佳子(やまむら・よしこ)私立探偵、夫婦カウンセラー。JADP認定 メンタル心理アドバイザー JADP認定 夫婦カウンセラー。神奈川県横浜市で生まれ育つ。フェリス女学院大学在学中から、探偵の仕事を開始。卒業後は化粧品メーカーなどに勤務。2013年に5年間の修行を経て、リッツ横浜探偵社を設立。豊富な調査とカウンセリング経験を持つ探偵として注目を集める。テレビやWEB連載など様々なメディアで活躍している。

リッツ横浜探偵社:https://ritztantei.com/

高校時代の初恋の相手

今回の相談者・泰則さんは、インフラ系の大企業に勤務している52歳の男性。外見は背が高くがっしりした体型ですが、話すと柔和で優しそうな雰囲気で「妻一筋」というような雰囲気が伝わってきます。

「電話してすぐに、相談の時間をとっていただきありがとうございます。もう、どこからどう話したらいいのか。妻が家を空けるようになってから、家族はバラバラです。3人の娘がいるのですが、末の娘は大学にも行かずに引きこもるし、真ん中は自分勝手な王様っぷりを発揮するし、長女は呆れて出ていってしまうし、妻の偉大さを感じています」

おそらく、家族4人が生活できるように、妻が家事や心のケアの全てを負担していたのでしょう。まず、妻との馴れ初めについて伺いました。

「僕は高校時代、弓道部だったのですが、彼女はマネージャーだったのです。控えめで優しくて、可愛いと思いつつ片思いをしていたのです。オクテだったので、告白もできないまま卒業しました。彼女は管理栄養士を目指しており、栄養系の大学に推薦で入り、僕は家が貧乏だったので、国立大学に進学しました」

泰則さんが卒業した名門国立大学は、授業が厳しいことでも知られています。アルバイトと学業を両立し、邁進したそうです。

「大学入学後、何人かとお付き合いしたのですが、彼女の面影を重ねてしまい、すぐに別れてしまいました。30年前は、LINEどころか携帯電話もようやく普及してきたくらいで、ポケベルの時代。勇気を出して彼女の実家に電話をしても留守が多い。彼女に会えるように、地元の駅前のコンビニでバイトを始めました。始めて2ヵ月目に、彼女が来たのです」

泰則さんは、他の客や同僚の目も構わず、彼女に告白。バイトが終わる時間を告げると、彼女はやってきたとか。

「僕が告白したら受け入れてくれました。あれが20歳の頃ですから、もう32年も一緒にいるんですね」

専業主婦になりたい」

交際は順調に進んでいき、泰則さんは結婚を真剣に考えるように。安定した企業に内定を決め、お互いが28歳の時に結婚します。

「彼女の方から、“専業主婦になりたい”と言われたのです。今後の僕の収入を考えれば、それは不可能ではない。義母が結婚祝いにとマンションを譲ってくれたこともあり、彼女は寿退社しました」

妻は、引っ込み思案であり、相手に強く言われると萎縮してしまう仕事に不向きな性格だそう。自分で決断して行動することができず、誰かにくっついてその人と同じようにしてしまうとか。

「妻の父がモラハラというか、DVも辞さないタイプ。さらに見栄っ張りで、借金も多かった。義母は妻が10歳の時に離婚し、自ら会社を立ち上げ、資産家になったのです」

専業主婦になってから、妻は毎日幸せそうだったと言います。結婚翌年に長女が誕生してから、計3人の娘に恵まれ、「理想的なお母さん」と言われるような24年間だったとか。

「3人の娘が幼い頃は、毎日のようにオーブンでパンやお菓子を焼いていました。あとは、手芸教室に行ったり、子供用の手作りグッズみたいなもののワークショップに参加したりして、“理想的なお母さん”だと感じていました。僕はシングルマザー家庭で育ったので、妻を理想的な母にすることができて、誇らしくもあったのです」

三女が中学入学とともにパートを開始

とはいえ、娘たちはやがて成長し、手を離れます。三女が中学校に入った5年前に妻はスーパーの惣菜調理のパートを開始。

「管理栄養士なので、資格を活かした仕事を選んだのです。準社員に登用話もありましたが、扶養控除や社会保険のこともあり、自ら断ったみたいです」

そのスーパーでずっと働いていたのですが、妻は転職をします。「時給1200円のパートさん」という扱いから脱却しようとしたのです。

「とてもいいことだと思って応援していたのです。妻の新たな勤務先は、管理栄養士の資格を生かせる食品関係の社員10人規模の会社です。小規模な企業は、1人あたりの負荷が大きい。妻も気づけば残業続きで、家族の食事はデリバリー。洗濯や掃除もせず、家の床には3人の娘と妻の髪の毛だらけ。見かねて僕が掃除をしている始末です」

かつて、泰則さんが掃除をしようとすると「パパは大黒柱なんだから、そんなことはしないで」と怒っていたのに、あまりの豹変ぶりです。

「あとは出張が多い。農家さんのところに調達の相談に行くなどいい、2泊、3泊の出張を繰り返しているんです。いくら管理栄養士の資格を持っているとはいえ、入社1ヵ月にも満たない社員見習いが、熊本だ四国だと商談に行きますか? 絶対におかしいんですよ」

長女が目撃した「現場」

23歳の長女が、母親である妻に嫌悪感を示して出ていったのは、浮気現場を目撃したから。

「長女も食品関連会社で働いています。国際展示場で開かれた見本市に参加すると、妻と見知らぬ男性が手を繋ぎながら長女の会社のブースの前を通過したそうなんです。妻はこれまでずっと“私は純潔を守ったから、パパと幸せな結婚ができている”と娘たちに話し、娘たちの恋愛に厳しい態度をとっていました」

娘たちの交際相手が有名大学以外だと、妻は「その人はやめなさい」と断固反対。妻に交際を反対された娘たちは、本人の浮気疑惑に反発します。

娘が撮影したという写真を見せていただくと、妻は男性を見上げるようにして笑顔を浮かべている。手はしっかりと繋がれており、ビジネス目的が多い見本市で明らかに浮いていました。

「これは浮気ですよね。僕はショックで卒倒しそうになりました。僕は妻のことが好きで、まだ体の関係があるんです。相手の男がどんな奴なのか、調べて欲しいのです。今後のことは、調査の後に考えます」

◇男女交際に厳しい母親がほかの男性と手をつないでいる……それを見た長女の衝撃は想像に難くない。性行為をしているのか、本当に浮気なのか。現実をきちんと知ったうえで考えるという泰則さんの冷静な判断が救いだ。

では実際どういうことになっているのか。詳しくは後編「結婚24年「なにもできない妻が愛おしい」と語った夫が娘から聞いた妻の真の姿」にてお伝えする。

結婚24年「なにもできない妻が愛おしい」と語った夫が娘から聞いた妻の真の姿