睡眠と免疫力で「老けない」体を手に入れる。医師に聞く健康をもたらす習慣
ESSE読者にアンケートをとったところ、約9割の人が「夜中に目が覚めてしまう」「朝起きたときに疲れを感じる」などなにかしらの悩みを抱えていることが判明! そこで、睡眠やこれからの季節に気になる免疫力について、医師の石原新菜先生に詳しく教えてもらいました。
しっかり睡眠をとれば、元気に年を重ねられる
人生100年時代。ということは、現在50歳の人も、まだまだ半分しか人生を生きていないということになります。とはいえ、年齢を重ねるにつれ、ざまざまな不調が出やすくなることを、実感している人も多いかもしれません。
「人間が生物としていちばん元気なのは、20代といわれます。そのあとは、なにも気をつけなければ基礎体力が落ち、体が冷えやすくなって寝つきが悪くなったり、免疫力が落ちて病気になりやすくなったり…。そこで、しっかり睡眠をとって自律神経を整え、食事や運動に気を配って体力をつけ、免疫力を高めることが、元気に年齢を重ねることにつながります」(石原先生・以下同)
老化速度は人によって約8倍も変わる
PoA(Pace of Aging)=老化速度という言葉が注目を集めています。ある研究では、老化のペースには個人差があり、生物学的に老化が遅い人は1年間に0.4年分しか歳をとらず、早い人は1年間に2.44年分も老化が進むことがわかりました(※)。そして、見た目の若さは、身体的な若さに比例します。
同じ遺伝子を持つ双子の研究では、生活習慣が違うと見た目に歴然と差が出るという結果も報告されています。遺伝的要因で若く見える人もいますが、老化速度は環境要因が7〜8割を占めているということなのです。
※ニュージーランドのダニーデン市で1972年〜73年に生まれた約1,000人を26歳から45歳までの20年間追跡した研究による
免疫力を高めれば病気になりにくい体に
“免疫力アップ”というけど、そもそも免疫力ってなに? 石原先生に聞いてみると、「血液に含まれる白血球には体に侵入したウイルスやバイ菌などをやっつける働きがあります。この白血球の病気を退治する力が免疫力です」とのこと。
では、免疫力を上げるにはどうしたらいいのでしょうか?
「まず、体が冷えて血行が悪くなると、運ばれる白血球の数が減るので、冷えを防ぐこと。また、体の免疫細胞の7割は腸にあるので、腸内を健康にすることも大切です。さらに、のどや鼻の粘膜を鍛えたり、バランスのいい食事をとることも欠かせません」
寒い時季はとくに免疫力アップを心がけて、インフルエンザや風邪を撃退しましょう。
免疫力アップにおすすめな食べ物2選
石原先生がおすすめする、免疫力アップが期待できる食べ物を2つ紹介します。
●スパイスを上手に使って体を温める
薬味やスパイスには、血管を広げた血流をよくし、体を温める効果が。「ショウガやシナモンのパウダーを紅茶や白湯にちょいたしして飲むとポカポカに。はちみつを加えれば、おいしさもアップ。みそ汁にもネギやショウガをたっぷり入れましょう」
●キムチや漬物を積極的に食べる
腸内の善玉菌を増やしてくれる発酵食品。なかでもおすすめなのが、キムチや漬物です。「これらに含まれる植物性乳酸菌は、生きて腸まで届いて腸内環境を整え、免疫システムを活性化。手軽に続けやすいので、ぜひ毎日の食事に取り入れて」