【北京時事】中国の習近平国家主席は22日、ロシア訪問を開始し、24日までの日程で新興国グループ「BRICS」首脳会議に参加する。

 米欧主導の国際秩序の切り崩しを図る習政権は、新興・途上国と連携して対抗軸を構築したい考えで、加盟国の拡大に前のめりだ。

 BRICSは昨年の首脳会議で、南アフリカ以来となる加盟国の増加を決定。イランなど4カ国が新たに加わった。習氏と、国際的孤立を回避したいロシアのプーチン大統領の思惑が一致し、働き掛けを強めた結果だ。

 中国の官製メディアは「拡大したBRICSが世界の国内総生産(GDP)に占める割合は、購買力平価換算で先進7カ国(G7)を上回る」と強調。タイやトルコなど30カ国以上が新規加盟に関心を示しているとして、影響力の増大を誇示する。

 新興・途上国にとって、巨大な経済力を持つ中国とのつながりに加え、国際社会において新興国がより大きな発言権を持つべきだという習政権の主張は「魅力的に響く」(北京の外交筋)。

 一方で、加盟国や加盟検討国の立ち位置はまちまちだ。ブラジルは米中間のバランス外交を重視し、日米豪と「クアッド」を形成するインドは中国との間で国境紛争がくすぶる。タイやいまだ正式には未加盟と報じられるサウジアラビアは米国と同盟関係にあり、BRICSが反米的色彩を強めれば距離を置く可能性がある。

 BRICS拡大を推進する習政権だが、加盟国が増えれば、統一的な方向性を打ち出すことが困難になるとのジレンマも抱えている。