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 阪神の秋季練習が22日、兵庫県西宮市の甲子園球場でスタートした。藤川球児新監督(44)は練習前の全体ミーティングで、佐藤輝明内野手(25)をリーダーに指名。大卒5年目を迎える来季、プレーと取り組む姿勢両面でのチームけん引を求めた。グラウンドでは2020年11月10日の引退試合以来、1442日ぶりの背番号22を付け、選手、コーチ陣と積極的に対話。くしくも虎のレジェンド番号と同じ日に船出をした。

 期待の表れにほかならない。選手、コーチ、スタッフを集めた全体ミーティングで、藤川新監督が約5分間の所信表明。1軍選手を前にする初めての機会で、佐藤輝の名前を出した。言われた本人が「しっかり姿を見せていけと言われたので、背中を見せていきます。ミーティング中に言われた」と明かした。事実上のリーダー指名といえた。

 その効果か、秋季練習初日の練習では、最初のランニングメニューで先頭の組を走った。目を光らせる馬場2軍守備走塁チーフコーチを背後にして、ノックを精力的に受けた。「しっかり課題を意識しながらやっていますよ。課題はいろいろあります。一つじゃないので。(打撃と守備の)どっちも頑張ります」。クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ(S)でDeNAに敗れた13日以来、9日ぶりの甲子園で見せた動きは、生き生きしていた。チームの新しいトップが示した選手との距離感にも歓迎を示した。

 「しっかりコミュニケーションを取っていくという話もあったので。いろいろと話ができればなと思う」

 スピーチで名前が出たのは、1人だけとみられる。話した内容を、指揮官自身は「二つの思いを込めた」と報道陣に明かした。

 一つ目に「いかに熱く秋季キャンプに入っていけるか。みんな付いて来てほしい」と訴えた。二つ目に、前日21日のCSファイナルSに勝利したDeNAの守護神・森原の表情を引き合いに出し「マウンドに上がった瞬間の表情が笑顔だった。勝とうが負けようが、ああいう表情で最後を迎えたい。それを伝えた」と戦う者の心得を説いた。チーム全体へのメッセージが中心。それだけに、名前が出た佐藤輝の存在感が際立った。

 類いまれな才能と粗さが同居するスラッガーに、岡田前監督が何度も苦言を呈したのは記憶に新しいところ。取り組み姿勢の改善を何度も求め、変わらなければ2軍降格にも踏み切った。前監督とは異なるアプローチで、新監督は真っ先に期待の言葉を贈った。2年間廃止されたキャプテン制が復活すれば、佐藤輝が指名される可能性がある。この男が変わればチームも変わる――。そんな思いが伝わる監督初日になった。(倉世古 洋平)

 【球児監督の秋季練習初日】

 ▼午前10時13分 背番号「22」のユニホームを身にまとって球場入り。

 ▼同17分 グラウンドでの投手円陣に顔を出して笑顔を見せる。

 ▼同28分 安藤投手チーフコーチ、久保田2軍投手チーフコーチ、江草2軍投手コーチらと会話。

 ▼同55分 トミー・ジョン手術経験者の小川、才木、下村ともコミュニケーションを図る。

 ▼11時19分 梵2軍打撃コーチと内野守備をチェック。

 ▼同46分 打撃練習を視察。

 ▼同52分 左翼へ移動し、筒井外野守備兼走塁チーフコーチと会話。ノックを受けていた森下に熱視線。

 ▼12時30分 屋外での全体練習が終了し、テレビインタビューを受ける。

 ▼12時50分 クラブハウスに引き揚げる。