◇セCSファイナルステージ第6戦 DeNA3―2巨人(2024年10月21日 東京D)

 「2024 JERA クライマックスシリーズ(CS) セ」のファイナルステージ第6戦が21日に行われ、リーグ3位のDeNAがリーグ覇者の巨人に3―2で勝利した。ステージ4勝目を挙げ、17年以来7年ぶり4度目の日本シリーズ進出を決めた。三浦大輔監督(50)は手腕が評価され、就任5年目となる来季も続投することが分かった。近日中に発表される。26日からの日本シリーズでは、パ・リーグ覇者のソフトバンクと争う。

 表情を変えなかった三浦監督が勝利の瞬間一気に崩れた。コーチ陣と抱き合い破顔一笑。選手との抱擁も終えると「苦しい戦いが続いたが一体で戦えた。リーグVのジャイアンツ。簡単に勝てない。気持ち一つに戦えた」と声を弾ませた。

 3連勝で王手をかけてから、2連敗で地獄を見た。相手に1勝のアドバンテージがあり逆王手の重圧。競り合いの中で土壇場に底力が発揮された。2―2の9回2死三塁。菅野のカットボールを主将の牧が左前決勝適時打。ベンチはもうお祭り騒ぎとなった。

 指揮官のファイナルSを通じて徹底した用兵は、この日も貫かれた。初回2死二塁、7回2死三塁。1点を争う展開の中、4番・岡本和を申告敬遠。ファイナルSでは大砲に6四球。そのうち4度が申告敬遠と、徹底的に勝負を避けた。情やプライドに傾くことなく、何よりも重視したのは球団アナリストらがはじき出すデータだ。

 「20年後名実ともに世界一のスポーツチームに」。21年4月に就任した木村洋太球団社長は、球団指標としたこの言葉を毎年仕事始めで口にした。そのために球団はよりデータを重視した。過去に大手銀行勤務経験もある分析力にたけた吉川健一データ戦略部長を、今季からチームに同行させ独自のデータを選手に「生」で伝達。三浦監督もデータを信じ、確率を基にした積極采配を展開。前日はことごとく裏目に出たが、この日もブレなかった。球団と同じ方向を向いた采配との親和性も加味され、就任5年目となる来季も指揮を執ることが決まった。

 貯金2、勝率・507は、過去の日本シリーズ進出チームの中でワーストの数字だ。3位でのシリーズ2度目の進出も史上初。究極の「成り上がり」はまだまだ止まらない。98年以来26年ぶりの日本一へ。三浦監督はこみ上げるものを感じ、目に熱いものを光らせながら力強く宣言した。「これでもう一度横浜スタジアムで試合ができる。CSから日本一を目指そうと、ギアを上げて戦いながらみんなが大きく成長した」。7年前に果たせなかった打倒ソフトバンク。本拠地ハマスタからどこまでも成り上がる。(大木 穂高)

 ≪シリーズ出場球団ではレギュラーシーズン史上最低勝率≫DeNAが17年以来7年ぶり4度目の日本シリーズ出場。セ、パCSでファイナルSを4勝3敗突破は14年ソフトバンク以来4度目。リーグ優勝チーム以外のシリーズ出場は19年ソフトバンク(2位)以来7度目。そのうち3位からの出場は10年ロッテ、17年のDeNAに次ぎ3度目で、2度も3位からの下克上はDeNAが初だ。なおDeNAのレギュラーシーズン勝率は.507(71勝69敗3分け)。シリーズ出場球団としては75年阪急の.520を下回る最も低い勝率。DeNAで日本シリーズに導いた監督は60年が三原脩監督(当時大洋)、98年が権藤博監督(当時横浜)、17年がラミレス監督となっており、生涯チームでプレーした生え抜き監督では三浦監督が初めて。