定年後、昨日のことも思い出せなくなり絶望…退屈すぎる老後を抜け出すための「驚きの方法」

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元伊藤忠商事会長、そして民間人初の中国大使を務めた丹羽宇一郎さん。仕事に生涯を捧げてきた名経営者も85歳を迎え、人生の佳境に差し掛かった。『老いた今だから』では、歳を重ねた今だからこそ見えてきた日々の楽しみ方が書かれている。

※本記事は丹羽宇一郎『老いた今だから』から抜粋・編集したものです。

大谷翔平で一喜一憂がいい

通常、私は朝食後から午前一一時半頃まで新聞や雑誌を読んだり、インターネットでいろいろなニュースを見たりします。仕事をリタイアしたあとも前職に関係のあるニュースに目がいく、という人は多いでしょう。私もそうで、関心があるのは日本や世界の政治経済。あとは、大リーグの大谷翔平選手が勝った、負けたというニュースがスポーツでは唯一で、日本の政界のもの以上に見ています。

ニュースを見ながら、大事だと思うことはメモしておきます。これは、私が若い頃にくらべて物忘れをしやすくなったからではありません。人間とは、そもそも生まれながらに「忘れっぽい生き物」だということを、過去の経験で痛感しているからです。

日々、メディアを通して入ってくる情報のうち、翌日になっても頭に残っているのは、何割かにすぎない。一週間もたてば、ほとんど残っていない。それくらい、私たちの頭は忘れやすい構造になっています。

ですから皆さんも、「ちょっと気になるな」と思うニュースがあれば、読むだけでなく、メモしておくとよいでしょう。

昼食後は、午前中に収集した情報のなかでも興味のあるものについて調べます。このときも、ただ調べるだけでなく、面白いことはメモしておくほうがよい。

それをあとで改めて整理し、レポート用紙何枚かにまとめます。メモだけでは時間がたつと何が書いてあるか読めなくなってしまうので、判読できるうちにできるだけ早くまとめ、重要な情報を残すようにしておく。

このように、自分が興味のある情報を集めて、さらに深く調べるという作業は、頭の健康維持のために非常に有効だと思います。夏休みにやった「自由研究」のようなものだと思い、気軽に始めたらいい。私は今は休みに関係なく毎日の日課にしており、場合によってはかなり長い時間を費やすこともあります。

かつては長時間座っていても腰痛など経験したこともなかったのですが、この年になると、同じ姿勢で座っていると筋肉が硬直して腰が痛くなってくる。そうなると、「ちょっと休むか」ということになり、そのままソファで寝てしまうこともあります。こうした時間のほかに、私は就寝前に三〇分ほど読書をすることが多いのです。

調子が悪ければやらなくてもいい

午後六時半から七時頃に夕飯をとり、ひと休みします。

でも、そのあとの入浴が大変です。以前は、身体を洗うなど無意識でやっていましたが、今はちょっと身体を動かすだけであちこちが痛い。身体を洗うのは関節をものすごく動かす動作なのだと、この歳になって気づきました。

洗髪してシャワーで流すときも、へたに身体を動かすと痛くなるうえ、お湯が耳の中に入ってしまい、始末が悪い。

日常生活のなかで、「やはり若い頃とは身体が違ってくるんだなぁ」と実感することが本当に多くなりました。

それでも、運動は多少なりともしています。私の病気は、身体をある程度動かすことで筋肉のこわばりや痛みを軽減できるので、昼間の読書のあいまに、筋肉を伸ばすストレッチなど、自分流の軽い体操を三〇分ほどやっています。

もちろん無理はしません。その日の体調に合わせて、三〇分の体操を一五分にすることもありますし、「今日は動くのがきつい」と思うとやらないこともあります。

さらに連載記事〈ほとんどの人が老後を「大失敗」するのにはハッキリした原因があった…実は誤解されている「お金よりも大事なもの」〉では、老後の生活を成功させるための秘訣を紹介しています。

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