60〜70代を襲う「仕事の能力低下」という「避けられない現実」

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年収は300万円以下、本当に稼ぐべきは月10万円、50代で仕事の意義を見失う、60代管理職はごく少数、70歳男性の就業率は45%――。

10万部突破のベストセラー『ほんとうの定年後』では、多数の統計データや事例から知られざる「定年後の実態」を明らかにしている。

定年後、仕事の能力はどのように下がるのか?

〈60歳あたりを境とし、仕事に必要な能力と仕事の負荷の双方が上下にはっきりと分かれている。

定年前、つまり20歳から59歳までは、仕事に必要な能力と仕事の負荷は拡大し続ける。

一方、仕事の負荷は60歳以降に、能力に関しては65歳以降に、それぞれ低下/縮小が向上/拡大の割合を上回り、年齢を増すに従い、さらにその度合いが強くなっている。

さらに、DIの数値(増加した人の割合から減少した人の割合を引いた数値)をみると、能力は65歳以降にマイナス10%程度で推移していくが、仕事の負荷はマイナス20%を下回る数値となる。〉(『ほんとうの定年後』より)

多くの方が想像するとおり、仕事の負荷も能力も、年齢を重ねるごとに下がっていく。

伸びる能力もある?

具体的な「職業能力」の変化についても確認していこう。

次の図から、伸び続けると思っている能力や低下したと思う能力が見えてくる。

〈多くの人が伸び続けると認識しているのが対人能力と対自己能力である。なかでも、対人能力は60歳以降もDIがプラス20%前後で推移しており、「5年前と比べて上昇した」と答えた人の割合が「5年前と比べて低下した」と答えた人の割合を20%上回る状態が続く。

その一方で、対課題能力のDIは、65歳以降、概ねマイナス圏内で推移する。処理力、論理的思考力についても概ね60歳を境に、低下し始める。論理的思考力よりも処理力のほうがやや低下幅が大きく、65歳以降、処理力に関してはDIがマイナス20%を下回る。

専門知識、専門技術については、60代後半以降はDIが0%近傍で推移し、マイナスに振れるのは70代後半となる。多くの人は自身の専門知識・技術は歳を取っても保たれていると考えていることがわかる。〉(『ほんとうの定年後』より)

どうやら、対人能力と対自己能力は伸び、専門知識・技術は定年後も保たれると思う人が多いようだ。

現役世代とは能力が変化する定年後の実態を把握することで、いち早く将来設計をしておくことがよいだろう。

つづく「多くの人が意外と知らない、ここへきて日本経済に起きていた「大変化」の正体」では、失われた30年を経て日本経済はどう激変したのか、人手不足が何をもたらしているのか、深く掘り下げる。

多くの人が意外と知らない、ここへきて日本経済に起きていた「大変化」の正体