大阪・関西万博「未来の都市」パビリオン(※完成予想イメージ)※画像提供・日本国際博覧会協会

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 大阪・関西万博(2025年4月13日〜10月13日 184日間)の”未来社会ショーケース事業”として展開する「未来の都市」のパビリオンの概要が明らかになった。

大阪・関西万博「未来の都市」パビリオン(※完成予想イメージ)※画像提供・日本国際博覧会協会

 延床面積4800平方メートルという会場内の最大規模の空間に、万博を主催する日本国際博覧会協会と国内12の企業・団体が業界の垣根を超え、経済発展と社会課題の解決に向けて「Society 5.0(※)が目指す未来の都市」をともに考える。

 出展する協賛企業・団体(12社)は、日立製作所・KDDI・川崎重工業・商船三井・関西電力送配電・日本特殊陶業・日立造船・IHI・神戸製鋼所・青木あすなろ建設および小松製作所・CPコンクリートコンソーシアム・クボタ。

 各社は「Society 5.0と未来の都市」「交通・モビリティ」「環境・エネルギー」「ものづくり・まちづくり」「食と農」といった5つの分野で個別に展示する。

 これに、万博を運営する日本博覧会協会が主体の共通展示が加わり、15のアトラクションを展開する。

展示システムの「carving vision(カービングビジョン)」イメージ 高さ5m、長さ92m、3層紗膜スクリーン2面の映像に囲まれる

 「未来の都市」プロジェクトのクリエイティブディレクター・古見(ふるみ)修一氏は、1985年つくば万博や、2005年愛知万博、ドバイ万博「日本館」の展示演出に携わった。

『未来の都市』プロジェクト・古見修一クリエイティブディレクター(左から2人目)、日本国際博覧会協会企画局・高見明伸担当部長(同3人目)

 この経験を踏まえ、「未来は自分たちが創り上げていく、という息吹を感じてほしい。博覧会史上、最もユニークな展示にしたい。”未来の最前線”と言ってもいい」と語った。

 パビリオンは、 Society 5.0を理解するために、 「サイバー空間とフィジカル空間、 バーチャルとリアルとの融合」や、「経済発展と社会的課題の解決を両立」などをイメージしてデザイン。2重の被膜を表現する“DOUBLE SKIN(ダブル・スキン)”と表現した。

大阪・関西万博「未来の都市」パビリオン(※完成予想イメージ)※画像提供・日本国際博覧会協会

 その内部には長さ92メートル、高さ5メートルの巨大なスクリーンや、4メートル四方の立方体が織りなす映像が、人類史をたどりながら未来の都市像を思い描くストーリーを描く。

コモン展示01「Future Life Cube〜未来との対話〜」3Dキューブが4つ並ぶ “Society5.0と未来の都市”のシーンを生活者目線で表現
コモン展示02 「CITY WALKER〜ゆめを見た・いまを見た〜」“こんな明日になれば”をキーワードにSociety5.0での分野別課題とその解決方法を知り考える空間

 日本国際博覧会協会企画局・高見明伸担当部長は、「大人も子どもも楽しみ、心に残る演出にしている。特に子どもたちには、これからの時代を自分たちの手で作っていくんだという思いを抱いてもらえたら」と話した。
 そして、「大阪・関西万博のコンセプトは“未来社会の実験場”。これを最も体現しているのが『未来の都市』パビリオン。日本を代表する、さまざまな業種を担う企業が関わり、単なる展示会ではなく、1つのストーリーを全体で共有しながら体験ゾーンを作り上げていく。古見プロデューサーと協賛企業、博覧会協会と数か月にわたり議論を重ねてきた。期待してほしい」と意気込む。

 『未来の都市』プロジェクトは、1970年大阪万博(千里丘陵)開催時に子どもだった世代が多く関わっているという。
 こうしたことから、高見部長は「あの時の感動を、今につなげるような気持ちで取り組みたい」と抱負を語った。

■水素利用した新型モビリティー〜川崎重工業

 川崎重工業(神戸市)は、「交通・モビリティ」部門での出展。人類はより豊かな土地、より豊かな生活をしたいと願い、移動を原動力にしながら社会を作ってきたという「移動本能」に着目した。 人類のDNAには移動によって幸せを感じ、意欲がかき立てられるとしている。

川崎重工業「移動本能―ひと・もの・こころを動かすモビリティー」

 パビリオンでは、水素を動力源とした新型モビリティーを展示するなど、陸・海・空それぞれの輸送機器を手掛ける同社の特性を生かし、 この「移動本能」を解き放つ演出を手掛ける。

■ものづくりの未来と可能性を追求〜神戸製鋼所

 神戸製鋼所(神戸市)は「ものづくり・まちづくり」部門。”ものづくり”を3つのゾーンで表現する。それぞれ、▼球体モニターで表現する「象徴」、▼機械仕掛けと映像の組み合わさった「リアル」、▼大型モニターで、現在と未来の技術が活きる世界が交錯する「ダイナミック」に分けた。

神戸製鋼所「“未来の豊かさ”を創造する力」

 直径2mの球体モニターや5.5mの大型モニターによる映像、また映像と機械仕掛けでリアルに体験でき、「インパクト&イマジネーション訴求型展示」に触れ、ものづくりの未来と可能性を実感できる。

■いのちつなぐ農〜クボタ

 クボタ(大阪市)は「食と農」。「未来の種は、いまにある。」をコンセプトに、人類と共に進化し、いのちをつないできた農業にスポットを当てる。未来に向け、地球にやさしく食と農業を支えるテクノロジーを発信。全幅20mの天幕スクリーンと巨大LEDモニターを活用した映像を届ける。

クボタ「人々の願いの実現とプラネタリーコンシャスの両立をめざす 未来の“食と農業”の研究所」

■バーチャル未来の都市〜日立製作所・KDDI

 KDDIは日立製作所(いずれも東京都)とともに、バーチャルの世界で未来の都市(以下、バーチャル未来の都市)を構築し、パビリオンとは異なる体験ができる空間を提供する。

日立製作所・KDDI 「未来は自分たちで変えられる」

 来場者はアバターとして街を散策し、協賛社の未来のテクノロジーに触れたり、街の住人と会話したりすることで、自分たちの生きるべき未来を考える(詳細は後日発表)。

 両社はこのほか、シアターを設け、来場者が2035年の未来をのぞき、課題解決に参加できるサイバー空間にいざなう。その内容は、持続可能な社会に向けた取り組みを行わなかった場合の2035年の未来に住む子どもから、身近なテーマについてのSOSを受け取る、というもの。
 ナビゲーターとともに未来の課題について楽しく理解を深めながら、解決策を見い出す。