記者会見する警察庁の露木康浩長官=2024年10月10日午前11時23分、東京都千代田区、板倉大地撮影

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 静岡県の一家4人殺害事件で袴田巌さん(88)を無罪とした静岡地裁の再審判決が確定したことについて、警察庁の露木康浩長官は10日の定例記者会見で、「警察庁としても重く受け止めている」と述べた。

【写真】袴田さんへの聴取の様子を収めた録音テープ

 再審判決で静岡地裁は、犯行着衣とされた「5点の衣類」とズボンの端切れ、検察官による自白調書の三つの証拠について、捜査機関による捏造(ねつぞう)と認定した。

 静岡県警の津田隆好本部長は9日、「袴田さんが長きにわたって法的地位が不安定な状況に置かれてきたことについて申し訳なく思っている」として、袴田さんに謝罪する考えを示した。真犯人が分からないままになっていることについては「ご遺族に対して大変遺憾、残念に思っている」と述べた。

 露木長官は、再審請求手続きが長期間に及んだことなどについて最高検が検証する予定で、静岡県警でも可能な範囲で改めて事実確認を行うと説明。「警察庁としても今後の教訓とする事項があれば、しっかり受け止めて、より一層緻密(ちみつ)かつ適正な捜査に取り組んでいきたい」と語った。(編集委員・吉田伸八)