9日、レバノンの首都ベイルート南部で、イスラエル軍の攻撃を受けた建物=ロイター

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 【エルサレム=福島利之、ニューヨーク=金子靖志】レバノンへの攻撃をめぐり、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は8日、イスラム教シーア派組織ヒズボラの指導者ハッサン・ナスララ師の後継候補を殺害したと声明で明らかにした。

 名前には触れなかったが、ナスララ師のいとこでヒズボラ幹部のハシム・サフィディン師とみられる。ネタニヤフ氏は「ヒズボラの戦闘能力を削った」と述べた。

 イスラエル軍は今月3日夜から4日未明、サフィディン師のいたレバノンの首都ベイルートの建物を空爆した。殺害が事実なら、9月に殺害されたナスララ師に続き、ヒズボラにとって打撃だ。ヒズボラは安否を明らかにしていない。ネタニヤフ氏は「ヒズボラは弱体化している」と強調した。

 イスラエル軍は8日、レバノン南部の国境沿いの集落マルワヒンで地下トンネルを発見したと発表した。トンネルは、イスラエル側に10メートルほど国境を越えて掘り進められていたという。また、同軍は8日夜、シリアの首都ダマスカスの住宅地を空爆し、シリア国営通信によると、女性や子供を含む7人が死亡した。

 国連のアントニオ・グテレス事務総長は8日、ニューヨークの国連本部でレバノン情勢について、「全面戦争の瀬戸際だ」と危機感を示した。グテレス氏は「この1年で2000人以上、この2週間だけで1500人が死亡した」と言及した。その上で、「まだ(戦闘を)止める時間は残されている」と即時停戦を求めた。