Intelのモバイル向けプロセッサ「Core Ultra 200V(Lunar Lake)」を搭載した製品が2024年9月に出荷開始しました。Core Ultra 200Vシリーズには「Xe2」という新設計アーキテクチャのiGPUが搭載されており、ゲームやAIの処理で高い性能を発揮することがアピールされています。このXe2の性能をテクノロジー系メディアのChips and Cheeseが詳しく検証し、その結果を公開しました。

Lunar Lake’s iGPU: Debut of Intel’s Xe2 Architecture

https://chipsandcheese.com/p/lunar-lakes-igpu-debut-of-intels

Xe2を採用した「Core Ultra 7 258V」、Xeを採用した「Core Ultra 7 155H」、AMDの「Ryzen AI 9 HX 370」、AMDの「Ryzen 7 7840HS」、Qualcommの「Snapdragon X Elite」で3D描画ベンチマーク「3DMark Solar Bay」を実行した結果が以下。Core Ultra 7 258Vのスコアは1万3151点で、前世代のCore Ultra 7 155Hを上回った一方で、「Ryzen AI 9 HX 370」のスコアを大きく下回っています。



3DMark Solar Bayを実行した際の秒間描画フレームレート(fps)を示したグラフはこんな感じ。



オープンワールドRPG「サイバーパンク2077」をフルHD・低画質設定で起動し、バッテリー駆動で動作させた際の平均FPSが以下。Core Ultra 7 258Vは前世代モデルからFPSが大きく向上し、39.34FPSで描画できるようになりました。



サイバーパンク2077をプレイ中のシステム全体の消費電力を示したグラフが以下。赤色がRyzen AI 9 HX 370、青色がCore Ultra 7 258V、水色がCore Ultra 7 155Hです。Ryzen AI 9 HX 370が最も消費電力が高く、その次にCore Ultra 7 258Vが続きます。また、Core Ultra 7 155Hは消費電力の変動が大きいですが、Core Ultra 7 258Vは比較的安定しています。



消費電力を「CPUの消費電力」「GPUの消費電力」「プロセッサ全体の消費電力」に分けるとこんな感じ。Core Ultra 7 258VではCore Ultra 7 155Hと比べてGPUの消費電力が大きくなっています。



サイバーパンク2077をプレイした際のDRAMへのアクセス帯域幅をまとめたグラフが以下。Core Ultra 7 258Vはキャッシュ容量が大きいため、DRAMとの通信量を少なく抑えつつ高い性能を発揮できています。一方でRyzen AI 9 HX 370は描画性能が高いもののDRAMとの通信量も多いことが分かります。Chips and Cheeseによると、DRAMへのアクセスは消費電力を増大させる要因となるとのこと。



Chips and Cheeseは「Core Ultra 7 258VのiGPUは、AMDに追いつこうとするIntelの決意の表れである」「Ryzen AI 9 HX 370のiGPUはCore Ultra 7 258Vのものより高い処理性能を備えているものの、消費電力が大きい。AMDはIntelと同様にキャッシュを増やす必要がある」と結論付けています。