中国広東省の無人農場で広がる、多彩な豊作の風景

夏の収穫を行う、広東省河東市にある万緑スマート無人農場。(資料写真、河源=新華社配信/伍嘉煒)

 【新華社広州10月6日】中国広東省河源市の無人農場では既に早稲(わせ)の収穫が終わり、晩稲(おくて)の緑が大地を覆っている。

 中国工程院院士(アカデミー会員)で華南農業大学教授の羅錫文(ら・しゃくぶん)氏は10年余りかけて研究開発した独自の知的財産権を持つ北斗衛星ナビゲーション搭載のスマート農機をもとに、チームを率いて同省広州市増城区に世界初の水稲無人農場を建設した。2021年には無人農場で栽培した良質な「絲苗米」(インディカ米の一種)の収量が1ムー(約667平方メートル)当たり662.3キロに達し、地元の平均収量より32%増加した。

 羅氏は「スマート農業は現代農業がたどる道であり、無人農業はスマート農業を実現するための重要な手段で、未来の農場が歩む道でもある」と指摘。その上で、無人農場の建設が農業生産の精密化や標準化、集約化、大規模化、効率化を実現し、増産増収と持続可能発展目的を達成する手助けになると述べた。

中国広東省の無人農場で広がる、多彩な豊作の風景

広東省広州市増城区の華南農業大学教育研究基地で、スプレー散布を行う無人操縦の噴霧器。(資料写真、広州=新華社配信)

 水稲無人農場は、デジタルセンシング、スマート意思決定、精密化作業、スマート管理という四つの重要技術で大きな進展を果たし、耕起・播種・管理・収穫の全作業工程のカバーや機械格納庫から田んぼまでの移動と作業の自律化、自動での障害物回避と異常検知時停止による安全確保、作物生育の全行程リアルタイム監視制御、スマート意思決定・精密作業の完全無人化という五つの機能を実現した。

 同大の趙潤茂(ちょう・じゅんぼう)副教授は「生産予測専門家の測定で、広東省河源市にある万緑スマート無人農場で栽培している宇宙稲『華航香銀針』の1ムー当たりの平均収量が723.5キロとなり、市内の収量記録を塗り替えた」と紹介し、水稲無人農場の建設によって顕著な経済的、社会的、生態的効果が得られたとの認識を示した。

 同大は昨年末までに、国内15省で無人農場30カ所を建設している。各農場はそれぞれ水稲や小麦、トウモロコシ、落花生などさまざまな作物を栽培しており、農場ごとに耕起から収穫までの作業工程が異なるほか、機械を使った作業体制も1台から複数台を必要とするケースまで違っている。(記者/馬暁澄、陳雪瑩)