数右衛門の姉・お露役の武田玲奈

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 いま、業界で注目度がぐんぐん上昇している女優の1人が武田玲奈(27才)だ。話題作に立て続けに出演している彼女が、このほど新作舞台に出演することに。どんな新たな魅力を見せるのか? 放送作家でコラムニストの山田美保子さんが解説する。

【写真】白のトップスにイヤリングが特徴的な武田玲奈。他、パールのネックレスにスーツ姿のHiHi Jetsの井上瑞稀、水色のジャケットに青のシャツを着るHiHi Jetsの橋本涼なども

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 10月5日、「新橋演舞場」で幕を開けるのが『劇走江戸鴉 チャリンコ傾奇組』(脚本・演出 横内謙介氏)。東京公演は10月27日までで、11月2日〜10日には「大阪 松竹座」で行われる。

 W主演で、布袋数右衛門役はHiHi Jetsの井上瑞稀、雁金弾七を同じくHiHi Jetsの橋本涼、数右衛門の姉・お露を武田玲奈が務め、横内氏と共に製作発表記者会見に登壇した。

 同作は、横内氏による時代劇で、2013年、『元禄チャリンコ無頼衆 浪花阿呆鴉』として「大阪新歌舞伎座」で初演された。江戸時代に派手な装飾が施された“デコチャリ”が登場し、若者たちが暴走族のように舞台上を縦横無尽に駆け巡るという大胆な発想で、エネルギッシュな舞台が好評を博した。

 果たして今回は、公演名も新たに、さらにブラッシュアップしての上演が決定した。

演出家から「スケールの大きい舞台女優に」と期待

 会見の冒頭、「11年ぶりにできることをたいへん嬉しく思っている」と話し始めた横内氏は、まず、「去年、素晴らしい才能の若者がいることを知った」とキャラクターが全く異なるHiHi Jetsの2人について言及。2人に会い、「絶対に映像を使わない」「あくまでも生身の演出で、人間の凄さでお客さんを喜ばせるという精神を貫こうと思った」と話した。

 さらに、当初、兄役だった井上について「お会いしたときに弟だと思った」と設定を変更したことも発表。「忘れられた青春の美しさを描き出したい」「最大限、力を尽くして凄い舞台にしようと思います」と意気込みを語った。

 記者から現時点でのキャストの印象を聞かれた氏は真っ先に武田玲奈について触れた。

 2021年、「新国立劇場」(中劇場)で幕を開けた『モダンボーイズ』でヒロインを演じた武田を稽古場で見て、「大きな存在感をもっている方。時代劇なんかいいんじゃないかなと思った。背も高いし大柄なので相手役には困るなぁとは思ったけれど、その大きさと、この美しさの中に、役者としての大きな表現力が備わるとスケールの大きい舞台女優さんになるんじゃないかなぁと思います」と絶賛した。

 ただ、3年前、氏は同舞台の演出は担当しておらず、「端から応援をしながら見ていただけなので、どこかで自分で玲奈さんの演出をして、もうちょっと可能性みたいなものを広げられることがあるんじゃないかという気がしていました。今作(『劇走江戸鴉〜』)では一見はかなげに見えたお嬢さんが、実は苦労をして一家を支えて、弟が真人間になってくれることを祈りつつ自分の理想をもって生きている、ちょっと複雑な役。美しさの中にある儚さと強さみたいなものを表現してもらえたら……」と長尺でエールを送っていた。

 武田玲奈と言えば、17日に最終回を迎えたドラマ『南くんが恋人⁉』(テレビ朝日系)で、南くん(FANTASTICS from EXILE TRIBEの八木勇征)に好意をもち、ちよみ=飯沼愛を敵対視する年上女性を好演したばかり。4月期は『あなたの恋人、強奪します』(ABCテレビ・テレビ朝日系)に主演し、同月13日には『PICU 小児集中治療室』SPに出演。同クール、『おいハンサム!!2』(東海テレビ・フジテレビ系)では木南晴夏、佐久間由衣を姉にもつ末妹をコミカルに演じ、ドラマ終了と同時に公開された映画『おいハンサム!!』でも存在感を放っていた。

モデル出身でありながらあえて言い切る「女優」

 今年4月、デビュー10周年の想いを「デイリースポーツ」のインタビューで語っていた武田が、今はもう「モデル」ではなく「女優という意識です」と言い切っていたのが筆者は忘れられない。

 2014年2月に『Popteen』のレギュラーモデルとしてデビューし、翌2015年、『週刊ヤングジャンプ』の巻頭グラビアで読者や業界人から大注目を受け、史上初めて年間5回登場したことでも話題を呼んだ。

 女優デビューは同年3月公開の映画『暗殺教室』。以来、演技の世界にハマっていったという。

 実は、芸能界のヒエラルキーにおいて、モデルよりも上のポジションに女優がいたのは、ひと昔前の話だ。いまは軸足を女優に置いていたとしてもプロフィールに「ランウェイ」の項目を置き、モデルとしてファッションショーに出演したことが記される時代である。

 が、あえて「女優」と言い切る武田の潔さと懸命に作品に取り組む姿に、筆者もいっきにファンになった。

 テレビマンや業界人の間で武田は「思い切りがいい女優」「動ける女優」と評判で、抜群のスタイルを活かして演じた劇場版『仮面ライダー アマゾンズ』(2016年・2018年)は「女優人生の初期を代表する作品」と言い、ライダーのヒロインを演じることには「登竜門として憧れがあった」と話していたという。

 その武田が「新橋演舞場」と「大阪 歌舞伎座」に初降臨する『劇走江戸鴉 チャリンコ傾奇組』。HiHi Jetsの井上と橋本との化学反応も含め、さらに飛躍するであろう“動ける”武田玲奈の“女優魂”をじっくり見せてもらうつもりだ。

◆山田美保子
『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)などを手がける放送作家。コメンテーターとして『ドデスカ!+』(メ〜テレ)、『1周回って知らない話』(日本テレビ系)、『サンデージャポン』(TBS系)に出演中。CM各賞の審査員も務める。