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 ◇東京六大学野球秋季リーグ戦 第2週第2日 明大4―0東大(2024年9月22日 神宮)

 10月24日のドラフトで1位指名競合が濃厚な宗山は「3番・遊撃」で出場し、2四球も2打数無安打。「四球を取れることはいいことですけど、あとはどれだけコンタクトしていけるか」と話した。3年生左腕の毛利が7回2安打無失点、12奪三振の好投を見せるなど東大戦は連勝で勝ち点1。ただ、宗山は2試合で1安打に終わった。28日からの慶大戦で、あと1本に迫ったリーグ通算100安打到達を目指す。

 宗山は間違いなくドラフトの目玉選手だ。1年春からリーグ戦デビューし、77試合で打率・331、9本塁打と文句なしの成績を残している。アマチュア球界屈指のアベレージヒッターであり、アマチュア球界屈指の守備力を備える遊撃手。それがドラフト1位候補である理由だ。

 スカウト陣からもお世辞抜きの高評価が並ぶ。21日の東大との初戦では右越えソロ。視察したロッテ・福沢洋一スカウトは「(1位で)間違いないでしょう。ケガの前よりスケールアップしているのが凄い」と絶賛した。春季リーグ戦では広島・苑田聡彦スカウト統括部長が「もうすぐにドラフトがあってもいいですよ。二遊間がしっかりするとチームは強くなりますからね。(獲得できれば)菊池(涼介)がいるうちに技術を教えてもらいたいね。プロ野球含めて日本で一番上手いショートだと思います」と語っていた。

 ただ、常に検証の目を持つのが担当記者の責務。文句なしの逸材に「欠点」はないのか、取材した。

 ▼日本ハム栗山CBO(22日の東大戦を視察) 

 本当に間違いのない選手だと思っています。(逆に)良くないところが何なのか、そういったところを見たいなって思っているんですけど、あれだけ本当に美しい選手なので。美しい選手っていうのはできることをしっかり準備して常にやりきれる。今日もそういうところが随所に見られました。例えばカウントが変わったときに外野手との距離感を常にチェックしている。当たり前のことが当たり前にできるっていうのは美しく見える。こういう選手と野球をやりたいってみんなが思う。こういう選手が見られることは我々にとってもうれしいことです。

 単純な打つ、守る、以外の点でも宗山は高く評価されていた。では本人は「欠点」についてどう考えているのか。試合後の取材で質問した。

 ▼明大・宗山塁

 自分で自分を評価したら欠点だらけと思うんですけど、特に挙げれば走塁の部分。盗塁の数は少ない(リーグ通算8盗塁)ですし、技術の部分で(もっと)次の塁を盗めるところもあると思う。もっと意識高くやりたいなと思います。

 宗山自身は「走」の部分を課題に挙げた。確かに走力の高い選手の多い遊撃手として盗塁数は物足りないが、50メートル走などタイム自体は遅くないだけに伸びしろでもある。では、宗山を見守ってきた田中武宏監督は「欠点」についてどう考えているのか。

 ▼田中武宏監督 

 それはね、いつも打つと思っているので(笑い)。彼には気の毒なんですけど、どんなピッチャーが来ても打つと決めつけている。

 広島の名門・広陵から加わり、大学での4年間で着実に進化を遂げてきた逸材。誰よりもその才能を知り尽くしているからこそ、田中監督は「打率10割」を求めていた。「欠点の見つからない美しい選手」、「盗塁数」、「10割打てないこと」と、それぞれの視点から宗山に対する意見が並んだ。

 記者は20年からアマチュア野球を担当しているが、彼ほどスカウトからの評価が高い選手は見たことがない。ドラフト当日まで評価をアップデートできるよう1つでも多く「欠点」を探そうと思うが、難航しそうだ。(アマチュア野球担当キャップ・柳内 遼平)

 ◇宗山 塁(むねやま・るい)2003年(平15)2月27日生まれ、広島県出身の21歳。三良坂小1年で野球を始め、三良坂中では軟式野球の高陽スカイバンズでプレー。広陵(広島)では1年夏、2年春に甲子園出場。明大では2、3年時に侍ジャパン大学代表入り。憧れの人はサッカー選手、実業家の本田圭佑。1メートル75、78キロ。右投げ左打ち。