日銀、政策金利の現状維持を全員一致で決定 消費の判断引き上げ

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Takahiko Wada Takaya Yamaguchi

[東京 20日 ロイター] - 日銀は19―20日に開いた金融政策決定会合で、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を0.25%程度で維持することを全員一致で決定した。景気の現状判断や基調的な物価の見通しを維持する一方で、個人消費の現状判断を引き上げた。

声明文では、景気について「一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している」とし、前回7月の決定会合で取りまとめた「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)で示した現状判断を維持した。

個人消費については、物価上昇の影響などがみられるものの「緩やかな増加基調にある」とし、7月展望リポートでの「底堅く推移している」との表現から判断を引き上げた。海外経済は「総じてみれば緩やかに成長している」、輸出や生産は「横ばい圏内の動き」と判断を据え置いた。

経済の先行きについては、海外経済が緩やかな成長を続けるもとで、緩和的な金融環境などを背景に「所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まることから、潜在成長率を上回る成長を続ける」との見方を維持した。

日銀は消費者物価の基調的な上昇率について、マクロ的な需給ギャップの改善に加え、賃金と物価の好循環が引き続き強まり中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから「徐々に高まっていく」との見通しを示し、展望リポートの見通し期間後半には「物価目標とおおむね整合的な水準で推移する」と改めて明記した。予想物価上昇率は緩やかに上昇しているとした。

<市場動向やその経済・物価への影響「十分注視」>

リスク要因については、海外の経済・物価動向、資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動などを挙げ、日本経済・物価を巡る不確実性は「引き続き高い」とした。その上で、金融・為替市場の動向やその日本経済・物価への影響を「十分注視する必要がある」と改めて盛り込んだ。このところ企業の賃金・価格設定行動が積極化するもとで「過去と比べると、為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面がある」とも指摘した。