日本株、いまや「国策」となったクリエーター市場をけん引する「プロ厳選・コンテンツビジネス企業5選」を実名紹介!

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日米ともに政権交代や金融政策の転換期を迎えたことで、日本株市場では先行き不透明感が広がっている。こうした局面では外部環境に左右されにくい物色対象に注目してみたい。そのひとつがアニメやゲームなどのコンテンツビジネスだ。任天堂〈7974〉の「ポケットモンスター」などのように、人気が長期化するシリーズ化されたIP(知的財産)は、中長期的に安定した収益をもたらしている。

政府もコンテンツ産業の育成を重視しており、9月9日には官民連携でクリエーターの発掘や海外展開を支援する「コンテンツ産業官民協議会」を開催した。政府は2033年までに日本発コンテンツの海外市場規模を22年の約4兆7,000億円から20兆円にまで押し上げるという意欲的な目標も掲げている。国策に乗って成長が期待できるコンテンツ市場において活躍が期待できる企業に注目してみたい。

バンナムHD(7832)

■株価(9月13日時点終値)3197円

海外でアニメ人気が高まる中、「機動戦士ガンダム」の大人向けプラモデルや、「ワンピース」のトレーディングカードゲームなど、利益率の高い商材販売が好調だ。「仮面ライダー」、「ラブライブ!」など、その他の日本を代表する人気作品も多数抱えている。中期経営計画では、ゲーム、玩具、映像、音楽などを通じてIP(知的財産)の価値を最大化する方針を掲げている。

世界的なヒットを記録した家庭用ゲーム「エルデンリング」のダウンロードコンテンツも想定を上回る好調ぶりだ。リピートタイトル(旧作)を含めた家庭用ゲーム全体の販売本数は、さらに増えていきそうだ。

今後は海外売上高比率を足元の4割から数年内に5割に引き上げ、世界市場での存在感を高める狙いだ。IPの創出力に強みがある東宝<9602>と資本業務提携したことで、新たなIPの開発にも注目が集まろう。さらに2026年春には東京都渋谷区に収容客数2000人のコンサートホールを開業する予定であるなど、自社IPの裾野を精力的に拡げていく狙いだ。

電通グループ(4324)

■株価(9月13日時点終値)4240円

「メタバース」(仮想空間)に関連する新事業へ、今後3〜4年で数百億円規模の投資を行う計画を持つ。メタバースの市場規模は2024年の約10兆円から、2030年には約50兆円まで拡大するとの民間調査もある有望市場だ。

タッグを組むのはオンラインゲーム大手の米ロブロックスだ。ロブロックスはアバター(分身)を操作して遊ぶ仮想空間のプラットフォームを展開しており、ゲームのフォートナイトと並んで根強い人気を持つ。電通グループは共同展開する新事業「ハウス・オブ・クリエーターズ」を通じて生まれたキャラクターを映像化する事業などに取り組む狙いだ。

約7万人のグループ社員のうち、約2万人がテクノロジー関連に従事するなど、デジタル領域での競争力を強化している。2024年末に発表予定の新中期経営計画では、デジタル分野へのさらなる投資も注目点のひとつとなるだろう。AI技術を活用したバーチャルヒューマンの活用や、ネット広告の効率化など、コンテンツ市場でのさらなる優位性につながる施策が期待される。

セガサミー(6460)

■株価(9月13日時点終値)2846.5円

海外の大手機関投資家による同社株の買い増しが話題となる中、今度の「東京ゲームショウ2024」では10月発売予定の新作タイトル「メタファー:リファンタジオ」の出展が予定されており、さらに海外からの注目度は高まりそうだ。

新作は人気ゲーム「ペルソナ」シリーズの制作陣が手掛ける新たなIPだ。発売直後の販売ペースはもちろんのこと、IPとしての人気も高まるようならば、株価評価にもさらなる追い風となるだろう。その後も今冬リリース予定の「ソニック ランブル」に続き、2026年3月期には「ペルソナ6」の投入も見込まれる。いずれもゲームファンに根強い人気を誇る定番タイトルだ。

2027年3月期までの中期経営計画では「売上高5,400億円、営業利益720億円、経常利益760億円、ROE(自己資本利益率)10%以上」を目指す。統合型リゾート(IR)事業からの撤退を決めたことで、より集中した経営資源の活用が期待される。

ネクストーン(7094)

■株価(9月13日時点終値)1732円

アーティストから委託された楽曲の著作権管理業務を中心に行うほか、音楽配信サービスにライセンスを提供し、音楽や映像コンテンツの著作権使用料の徴収や分配を担うデジタルディストリビューション(DD)事業を手掛けている。

同社はJASRAC(日本音楽著作権協会)に対抗する唯一の民間企業で、著作権管理業務における柔軟な仕組みとアーティストに寄り添ったサービスを強みとしている。アーティストの著作権管理の比率を増やすことを目的に、有名アーティストを獲得するだけでなく、新人アーティストの発掘にも積極的に取り組んでいる。

今後の注目点は、デジタルプラットフォームによる収益強化だ。2024年7月から全世界のYouTube動画視聴の著作権使用料の直接徴収を開始したことで、さらなる収益基盤の安定化が期待できる。また、レコチョクが提供する「murket」などのワンストップ型ECソリューションを通じて、CDやグッズ販売、NFT(ブロックチェーン上で発行や取引できる代替不可能なデータ)を活用した新サービスの拡充にも期待したい。

東映アニメ(4816)

■株価(9月13日時点終値)3225円

映像コンテンツの製作から版権ビジネスまで幅広く手掛けている。10月には「ドラゴンボールDAIMA」の放送が開始される予定であるほか、バンダイナムコによる「ドラゴンボールZ Sparking!」のゲーム化も控えるなど、アニメとゲームの連携による相乗効果が期待できる。

豊富なコンテンツを持つことは、世代間ギャップを埋める効果があることも強みだ。例えば50年以上の歴史を持つ「仮面ライダー」シリーズは三世代で楽しめる作品として国内外で人気があり、ベルトなどのグッズ販売による安定的な利益成長を想定できる。

海外での映像コンテンツ配信やゲーム化権を強化することで、さらなる成長が見込まれる。海外における映像コンテンツの二次配信やライセンス契約による収益は、いまや売上高全体の50%超を占めるまでに至っている。サウジアラビア政府系ファンドとの提携による「ドラゴンボール」のテーマパーク事業など新たな収益機会も広がりつつあり、収益源の多様化が期待できそうだ。

9月26日〜29日には、日本最大のゲームイベント「東京ゲームショウ」が控えるほか、2025年のリリースが噂される家庭用ゲーム機やアニメ映画の話題なども目白押しだ。グローバルな展開力を持ち、魅力的なコンテンツを有する企業には、長期的な視点で注目する価値があるだろう。

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