新しい車載技術のほとんどが「不要」と思われていることが調査で判明
近年の自動車には「先進運転支援システム(ADAS)」や助手席の乗客向けのスクリーンが搭載されるなど、多くの革新的な技術が詰め込まれています。しかし、これらの技術に対し、多くのドライバーが「不要」と感じていることが市場調査会社のJ.D. Powerによる調査で明らかになりました。
2024 U.S. Tech Experience Index (TXI) Study | J.D. Power
J.D. Power survey: automakers pack too much tech into vehicles | DC Velocity
https://www.dcvelocity.com/articles/61727-jd-power-survey-automakers-pack-too-much-tech-into-vehicles
A lot of new in-car tech is “not necessary,” survey finds | Ars Technica
https://arstechnica.com/cars/2024/08/ai-good-passenger-infotainment-screens-bad-says-car-technology-survey/
近年の自動車には、温度や湿度などの変化に応じて車内の空調を調節する「スマートクライメートコントロール」などの機能が搭載され、ユーザーからの人気を博しています。一方で自動車に搭載された顔認証や指紋リーダー、ジェスチャーコントロールなどの技術は多くのユーザーから「これらの機能には問題がある」「機能が不足している」との指摘を受けています。
そこでJ.D. Powerは、のべ8万1926人のユーザーに対し自動車に搭載される技術が「必要不可欠」「あれば便利」「不要」のいずれかに分類されるかを尋ねる調査を実施しました。J.D. Powerのテクノロジー担当シニアディレクターであるキャスリーン・リツク氏は「強力な先進技術に関する戦略は、全ての自動車メーカーにとって非常に重要であり、多くの革新的な技術は顧客のニーズに応えています」と述べています。
J.D. Powerの調査では、ADASの利用可能性が高まっているにもかかわらず、多くのドライバーは「あれば便利」または「不要」と答えていることが明らかになりました。ドライバーの多くが「運転中の死角への警告」など、特定の問題に直接対処できるADASの機能を高く評価しましたが、「ADASなどの機能に頼らなくても、運転は完璧にできる」と回答しています。
また、一部の自動車メーカーは助手席の乗客向けに2つ目のディスプレイを搭載した車両の提供を拡大していますが、多くのドライバーはこの機能を「不要」と回答しています。J.D. Powerは「助手席を頻繁に使用するユーザーからはこの機能は好意的に見られるでしょうが、毎日助手席に人を乗せる割合は10%にすぎないほか、2つ目の画面が搭載されると、複数のディスプレイの使用方法を覚えることになり、車両がより複雑化してしまいます」と指摘しました。
さらに、オートパイロットやフルセルフドライビング(FSD)など、革新的な技術を他社に先んじて搭載することが多いテスラの車両に対し、多くのユーザーが不満を表明しました。J.D. Powerは、ドライバーの顔を認識して安全運転について警告する「ダイレクトドライバーモニタリング」などの機能の満足度が低く、「テスラは技術的な優位性を失っているかもしれません」と語っています。
リツク氏は今回の調査に関して「2024年の調査では、ドライバーがほとんど使用していないテクノロジーや、迷惑だと思っているテクノロジーの存在が明らかになりました」と語っています。
加えて、J.D. Powerは優れたテクノロジーを提供する自動車メーカー・ブランドをランク付けしており、今回の調査ではジェネシスが4年連続でトップの座を獲得、2位にレクサス、続いてBMWがランクインしました。
また、マスマーケットブランドの中では韓国の現代自動車が5年連続でトップとなりました。