佐々木朗希(C)共同通信社

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大谷翔平にいたっては6年間で2度も手術

 160キロ右腕としてメジャーから注目されている佐々木朗希(22=ロッテ)は人一倍、故障に関してナーバスだ。

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 プロ5年目にしてシーズンを通してローテを守った経験がないのは、大ケガにつながる以前に自らブレーキを踏んで戦列を離れるから。今季もすでに2回、右腕のコンディション不良などで登録を抹消されている。なにしろ大船渡高3年夏、あとひとつ勝てばチームが甲子園という岩手大会決勝で一球も投げなかったくらい。

「危機管理能力は評価できる」とア・リーグのスカウトは好意的に見ているものの、そんなスカウトですら「佐々木はいずれ、右肘靱帯を修復するトミー・ジョン手術を受けざるを得ないだろう」とみている。

「佐々木は後ろ、つまりテイクバックが大き過ぎるのです。あれだけ大きいと、肩肘にかかる負担はハンパじゃない。ダルビッシュ(38=パドレス)も大谷(30=ドジャース)も、メジャーに行ってからテイクバックを小さくした。肩肘への負担を軽減するためですけど、それでも2人ともメジャーでトミー・ジョン手術を経験していますからね。大谷にいたっては6年間で2度も手術をしています」(同)

 メジャーで160キロ超の速球を投げる「剛腕投手」の多くは、右肘靱帯を修復するトミー・ジョン手術を受けている。

 大谷はもちろん、大谷の同僚グラスノー(31)、サイ・ヤング賞2回のデグロム(36=レンジャーズ)、同賞3回のバーランダー(41=アストロズ)、今季は所属先がないシンダーガード(31=元メッツなど)、今年4月に現役を引退したストラスバーグ(36=元ナショナルズ)……と、枚挙にいとまがない。

 大谷や山本由伸(26)のボスでもあるドジャースのプライアー投手コーチは現役時代、160キロの速球を武器に「ネクスト・ロジャー・クレメンス(160キロの速球を武器に通算354勝、サイ・ヤング賞7回の剛腕)」の異名をとったが、右肘を痛めてメジャーで投げたのは5年間に過ぎなかった。

「初回のリードを守れなかったのは不甲斐なかった」

 これだけ多くの剛腕が右肘の手術を余儀なくされたり、短命で終わっているのは、160キロの速球を投げる負荷が、いかに大きいかを物語っている。

 大谷は昨年暮れのNHKのインタビューで、武器のスイーパーに関してこんなふうに話している。

「ケガをして初めて分かるが、球速が上がることは、それだけトルク(力)がかかる。肘にかかるトルクも大きくなるので」

 球速が上がれば上がるほど、肘にかかる負荷が大きくなるのは速球も一緒だろう。

 ただでさえ、160キロ超の速球を投げる投手の多くが肘を故障しているうえ、メジャースカウトによれば佐々木の投球フォームは肩肘への負担が大きいのだ。それだけに本人がどれだけ故障にナーバスになろうが、160キロの速球を武器にするスタイルである以上、「右肘靱帯の修復手術は避けられない」との声が上がるのも無理はない。

 さて、22日の佐々木は日本ハム戦に先発。前回15日の同カードで打球を左足首付近に受けて二回途中で緊急降板した影響が不安視されたものの、速球は初回に161キロをマークしたから体自体に問題があったわけではないだろう。

 ただ、6回、計92球を投げて6安打4失点、5与四球で4敗目(6勝)。8奪三振はともかく、再三、160キロ近いストレートを芯でとらえられていたのは気になるところだ。

 8日のソフトバンク戦は5回を投げて9安打3失点。9安打中、8本は同様にストレートを打たれたもの。本人が「組み立てなのか、クセなのか」とクビをひねっていたように、あるいは投球時のクセが露呈しているのかどうか。

 だとすれば、肘が悲鳴を上げる以前の問題。試合後の本人は、

「初回のリードを守れなかったのは不甲斐なかったかなあと。ボール自体はある程度、強さもあったし、いい方かなと思いますけど、相手打線が調子いい中で、力を上回れなかったと思います」

 と話した。

  ◇  ◇  ◇

 佐々木に対し、ロッテ以外のNPB球団までこぞってブチギレているという。いったいなぜか。佐々木の周りで何が起きているのか。

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