【エンタメGO】お出かけ気分が味わえる? 部屋の中で“暑い夏”を楽しみたい映画/アニメ2選
フラ・フラダンス
(C)BNP, FUJITV/おしゃれサロンなつなぎ
お盆の時期は観光地も商業施設もイベントも道路も大混雑するし、何より暑すぎて出かけたくない。ならば、エアコンの効いた涼しい室内でビール飲みながらエンタメを楽しもう。ということで、夏に観たい映画・アニメを2作品ほど選んでみた。どちらもPrime Videoで配信中で、レジャー施設を舞台にした作品だ。
「フラ・フラダンス」(Prime Video)
1作目は、福島県いわき市にあるリゾート施設「スパリゾート」を舞台に、新人フラガールの成長を描いたアニメ映画。
フラガールと言えば、2006年に公開された実写映画「フラガール」を思い出す人が多いだろう。この映画により、日本中でフラダンスブーム、スパリゾートハワイアンズブームが起きた名作中の名作だ。主演の蒼井優の美しく妖艶なフラダンスは何度見ても泣ける。
「フラガール」は常磐ハワイアンセンター(現スパリゾートハワイアンズ)の始まりの物語。常磐炭鉱閉山の危機に瀕し、鉱山開発会社と従業員たちが次代の産業育成と雇用を守るために立ち上げた一大プロジェクトを、フラダンスチームの目線から描いた作品だ。
対して今回紹介する「フラ・フラダンス」は東日本大震災から復興したスパリゾートハワイアンズを舞台にしている。被災3県をアニメ映画で応援する「ずっとおうえん。プロジェクト 2011+10…」の一環として制作されたが、作中では被災の描写はあまりない。
主人公を含め、どうしてフラガールになろうと思った! とツッコミたくなるメンバー5人が、様々な困難を乗り越えてフラガールとして舞台に立てるようになるまでを描いた青春ストーリーだ。
応援プロジェクトの一環として制作されているため、いわき市の多くの観光名所が作中に登場するが御当地ものによるある無理矢理感はなく、それぞれストーリーに関係するエピソードの背景として描かれている。さらに、フラダンスのシーンは現役のフラガールがモーションキャプチャーの収録に参加していたり、いわき湯本温泉宿の女将たちで構成される「フラ女将」も出てきたりと、本作を観た後に「いわき市に行ってみたい」と思わせてくれる映画だ。
そしてラストシーン。「フラガール」もそうだったが、ダンスシーンだけで泣けるのは筆者だけだろうか。震災後、スパリゾートハワイアンズが営業できなくなったため、フラガールは創業時以来の全国キャラバンに出かけたことが話題になったが、そうした思いも重なって、もう涙が止まらない。いわきの美しい景色と、新人フラガールの生き生きとした青春模様をぜひ楽しんで欲しい。
なお、「フラガール」未見の人は「フラ・フラダンス」を見る前に、既に見たことがある人も、もう一度見直すことをおすすめする。「フラ・フラダンス」のスタッフロールにちょっとしたお楽しみを発見できるだろう。
「としまえん」(Prime Video)
映画 としまえん
(C)2019 東映ビデオ
ホラー映画と言ったら真のホラーマニアから怒られそうだが、アメリカのよくあるB級ホラー映画のセオリーをきちんと踏まえた、安心して(?)見られるクローズドサークル・ホラー。
舞台はタイトル通り、東京都練馬区に存在した遊園地「としまえん」。女子大生と思しき5人組が、としまえんにまつわる都市伝説をふざけて試してしまうことから恐ろしい現象に次々と襲われていく。
なーにも考えていないチャラチャラした女子大生が夏のバカンスでさらに浮かれ、やるなよ、絶対にやるなよ、あーだからやるなって言ったのにーとなり、一人また一人と消えていくアメリカンB級ホラーあるある。一番のお調子者が最初に犠牲になるのも様式美だ。
主演が元NGT48の北原里英ということでアイドル映画と揶揄されてもいるが、北原里英を含め出演者の迫真の演技は必見。表情も仕草も役になりきっており、観ているこっちも話に引き込まれていく。
作中では、1907年ドイツで製造され現存する遊戯機械としては日本最古だったメリーゴーランド「カルーセルエルドラド」や、ミラーハウス、フライングパイレーツなど、としまえんの名物アトラクションが数多く使われている。
としまえんは2020年8月31日をもって惜しまれながら閉園してしまい、本作のキーとなる「古城の塔」も今般解体が決定し、われわれの青春時代の思い出の地は完全に消えることとなった。本作を観て、青春時代を振り返るのもまたよしである。