刺繍の上手な娘と赤い龍が織り成す涙と感動の物語、「にじをかけたむすめ 中国・苗族のむかしばなし」

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中国の少数民族・ミャオ族(苗族)に伝わる物語を基にした民話絵本「にじをかけたむすめ 中国・苗族のむかしばなし」が、7月10日にBL出版から発刊された。

「世界のむかしばなし絵本シリーズ」の中国編で、日本画家・絵本画家の後藤仁が現地取材・構想から15年10カ月、日本画制作に約2年をかけて仕上げた。絵本の原話は中国民俗研究の第一人者、君島久子の民話集などから選出し、文は中国語翻訳家・茶芸師の宝迫典子によって絵本用に新たに中国語原文から翻訳された。ミャオ族に伝わる民話を基にしており、原話の題名は「花辺姐姐(ホワビエン ジェジェ/花辺姉さん)」。絵本の編集は数々の賞を受賞している注目の絵本編集者、鈴木加奈子が手掛けた。

むかしむかし、中国中南部の奥深い山地、ミャオ族の村に刺しゅう(花辺=縁飾り)のとても上手な美しく気立ての良い娘がおり、いつも他の娘たちに刺し方を教えていた。王様がそのうわさを聞きつけ、娘をさらいに大勢の手下を村に送り…。刺しゅうの上手な娘と赤い龍の織り成す涙と感動の物語。空にかかる虹の由来を伝えるミャオ族の美しい民間伝承だ。

絵本に描かれたミャオ族は中国の少数民族の中でもひときわきらびやかな衣装と華麗な民族舞踊で知られる。古来、文字を持たないミャオ族は歌や踊りと共に銀細工や刺しゅうなどの手工芸品に描かれた文様を親から子へ、子から孫へと伝えることで、民族の風習やアイデンティティーを伝承してきた。ミャオ族は日本人のルーツ(祖先)の一つともいわれており、餅つき・おこわの風習、機織り・刺しゅう・藍染め・ろうけつ染めなどによる衣装制作、棚田の光景、杉の木の高床式住居など、文化や習慣に日本と共通する部分が多くある。(編集/藤井)