斎藤元彦知事

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 斎藤元彦兵庫県知事(46)を巡る問題で、2人目となる県職員の死亡が明らかになった。知事のパワハラなどを告発した文書に《精神が持たず、うつ病を発症し、現在、病気休暇中》と書かれていた元課長は、4月20日に自ら命を絶っていた。7月24日の定例会見で斎藤知事は、その死を3カ月間にわたり隠してきた理由について「遺族の意向」と答えた。

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 兵庫県庁には苦情の電話が止まらないという。

「お電話の内容については申し上げられませんが、幅のある、あらゆるご意見をいただいております」(広報広聴課)

 県民からの電話なのだろうか。

斎藤元彦知事

「県民以外からも、全国からいただいております」

 斎藤知事を告発した元県民局長が亡くなった際には、1日300件もの電話があったと報じられた。現在はどのくらいなのだろうか。

「最近は1日200件くらいでしたが、24日の知事の定例会見を受けて、倍増とまでは言いませんが、再び増えています」

 ところで、なぜ斎藤知事は辞職しないと思いますか?

「それは知事のご判断ですから……」

 24日の定例会見で斎藤知事は、記者から改めて責任の取り方を問われていた。

斎藤知事:文書問題で現在の状況になっていることを、県民の皆さまに改めてお詫びを申し上げたいと考えております。また、県職員の組合、そしてOBの皆さま、各方面からも様々なご指摘をいただいているところです。また、県下の首長のみなさまにもご心配をお掛けしていることをお詫び申し上げたいと考えています。

 ここまで孤立すれば、辞職という考えも浮かびそうなものだが――。

「虫が良すぎる」

斎藤知事:そういった様々な指摘、批判は、これまで繰り返し述べさせておりますけど、真摯に受け止めていくことが大事ですが、私としてはこれから百条委員会、第三者委員会を通じて、今回の問題の対応をしっかり行っていくということ。そして、県職員の皆さんとの信頼関係の再構築、県政を立て直していくことが私の責任の果たし方だと考えております。これまで述べさせていただいた方向性の通り、日々の仕事を懸命にさせていただくという思いです。

 これまでの回答と寸分の狂いもない。だが、記者も何とか別の言葉を引き出したいと思ったのだろう。

記者:現場で苦しい思いをしている職員が大勢いる中で、知事ご自身は何の痛みも負わずに、職員に理解してくれと言うのは虫が良すぎる。それで部下がついてくるのか、示しがつかないと思う。辞職を否定するのであれば、ご自身の給料、ボーナスをカットするとか、それ以外の責任の取り方は知事にはないのか。

斎藤知事:責任の取り方は、ご指摘の通り様々あると思います。私としてはまず、今すべきことは、日々の業務をしっかりやって……。

 結局は何を聞かれても同じである。また、県に苦情が殺到していることについて問われると、

斎藤知事:電話対応を含めて、お答えいただいている職員には心から申し訳ないと思っています。それがいつなくなるか、どうやればなくなるのかというのは、私のほうから今の時点では申し上げることではないのですが、やはりひとつひとつの日々の政策を……。

 もはや“斎藤流の答弁”と呼ぶべきかもしれない。そんな斎藤知事に事実上の辞職を迫った県職員労組の幹部も呆れて言う。

なぜ辞めないのか

「私たちが知事に申し入れをしたときも『80万(票)の付託に応える』とか同じことの繰り返しでした。毎週のようにいろんな証言や証拠が出てくる中、言葉も顔色も変えずに言い続ける……もはや凄いとしか言いようがありません」

 なぜ知事は辞めないのだと思いますか?

「私のほうが聞きたいですわ」

 だが、現実問題として、県職員が2人も自ら命を絶っている。デイリー新潮は26日に配信した「【兵庫県職員・2人目の死者】県が公表を3ヶ月間も引き延ばしたロクでもない理由…同僚は『絶対におかしいという気持ち』」で、元課長の死が隠された理由を報じた。ある県職員は言う。

「被災職員かその遺族が認定請求を行い公務災害が認められれば、地方公務員災害補償基金の補償が受けられます。亡くなった元課長は昨年11月に開催された阪神・オリックスの優勝パレードを担当し、激務のため体調を崩したと言われています。公務災害が認められるためには、どのような労務状況だったか、どのような業務だったのかも、当然、調査されます」

 告発文書には、優勝パレードの不足した経費を《信用金庫への県補助金を増額し、それを募金としてキックバックさせることで補った》《パレードを担当した課長はこの一連の不正行為と大阪府との難しい調整に精神が持たず、うつ病を発症し、現在、病気休暇中》とあった。

どうぞメンタルケアに

「最終的に公務災害を認定して補償を行うのは地方公務員災害補償基金です。もし不正が行われていたなら、元課長が一体どのような業務を命じられていたのか、県としては外部に知られたくはないでしょう」

 パレードに関わる業務を他に詳しく知っているのは誰になるのだろう。

「パレードは大阪・兵庫の府県をあげてのイベントでしたので、全体を把握する立場の人が誰になるのか特定するのは難しい。はっきりしているのは、当時、元課長の直属の上司だった人物は、4月から総務部長に栄転していることです。彼は知事の最側近と言われ、亡くなった元課長の遺族へのお見舞い金(遺児育英資金)を集めないようにしたのも彼ではないかという声があります。もっとも、最近は四面楚歌の状況にある知事から距離を置くようになり、彼も複数回にわたって、知事に辞職を迫ったそうです」

 斎藤知事は副知事から5回も辞職を迫られたものの、全く聞く耳を持たなかった。前述の会見で自ら語っている通り、職員労組や職員OB、県議会会派からも辞職を突きつけられたが全く動じていない。最側近からの訴えなら少しは響いたのだろうか。

「知事は告発した元県民局長のために『メンタルケア(の窓口)を準備していたが亡くなってしまった』と語っていましたが、総務部長は『私は思い詰めているんです』と言って辞職を迫ったといいます。これに対して知事の反応は『どうぞメンタルケア窓口に行ってください』だったとか。知事の鋼のメンタルには、怒りを通り越して呆れるしかないですね」

デイリー新潮編集部