【手指の鬼】
著者:鏡ハルカ
講談社

 その鬼は宿場に住み着き人を襲ったが、手指の数が欠けているものは食わなかった。今まさに斬首されようとしていた美しい鬼が、自分とある少年との物語を語り始める。

 本作「手指の鬼」は、「コミックDAYS」にて2022年11月より配信されている氏の短編マンガ。「アフタヌーン四季賞2020秋」で準入選を果たしている。

 鬼の集落にある「稚児食い」という習わしは、さらってきた人間の子供を大切に育てた後、7つになる前の日に食らうというもの。その子供の世話役を任された鬼、勝部は、世話をしている子供の笑顔が嫌で嫌でたまらない。己の運命を知りながら、それを疑うことなく純粋な笑顔を向けてくるから。いよいよ明日7歳を迎えるその夜に、勝部はある決意を固める。

 鬼の語った昔語りは、その人生の最期にせつない結びを迎える。繊細な絵柄とともに、心に沁みるような物語だ。

【あらすじ】

捕らえられ、斬首されようとする1人の鬼。彼女が襲う人間には、1つの基準があった……? 美しき鬼が最期に語る、ある少年との物語。

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