熟女キャバクラに通う70代の老人が「“お兄ちゃん”って呼んで」“熟女人気”のリアルとは?
おじさんの目には「初恋の彼と再会したヒロイン」として映ったのかもしれません。
◆熟女人気の実態
おじさんは、大切な宝石に触れるように彼女の手に触れました。「ああ見えて苦労してるんだよ」「あんなに小さな身体で頑張っちゃってさ……」とおじさんたちは彼女について私に語りました。“若い女にはない弱さ”がおじさんの父性をくすぐるのかもしれません。
生意気なキャバ嬢の「シャンパン飲みたい」より、おばさんキャバ嬢の「シャンパン飲みたい」の方がより切実さがあるというか、健気さがあるというか。
若い女の子にはキモおじ扱いされるかもしれない、というかほぼ確実にされるのですが、おばさんなら自分を受け入れてくれるかもしれないなどの期待もあってか、かなりお金を使い込んでいるおじさんもちらほらいらっしゃいました。
とはいえ、お客様は60代から70代がメインです。熟女扱いされているおばさんたちですが、彼らより20も30も若いわけです。それでもおじさんにとっては、おばさんはおじさんをバカにしないだろうという安心があるのかもしれません。
冴えない、なんならちょっと頑張れば手に届くおばさんを、安心して追いかけたい、というおじさんの心情が熟女需要を支えていそうです。
同じ40代、50代の女性を追いかけるとしても、高級クラブのママなど、いかにも手強そうな相手ではなく、熟女キャバクラに勤める女性を選んでいる点もミソな気がします。
さて、当時32歳だった私ですが、熟女店では若手扱いです。ウブな素人娘……設定はさすがに厳しかったのですが、それなりに可愛がっていただきました。
とある70代のお客様がご自身を“お兄ちゃん”って呼ばせてご満悦そうにしていらっしゃいました。ある日、お帰りになる彼を見送るために、一緒にエレベーターに乗ったことがあります。
何を思ったのか、彼は「“お兄ちゃん”にチューは?」と言って私に迫りました。
「兄妹はチューしないよ」
と、一蹴するとシュンとしておとなしくエレベーターを降りてくれました。だいたい、70代のおじいさんが“お兄ちゃん”設定なのはさすがに図々しすぎます。せめてお父さんだろうが、と言いたいところでした。
◆娘や孫のように慈しむべき
今回は、某熟女キャバクラで実際に体感した“熟女人気”のリアルについて書いてみました。可哀想なおばさんを安心して見下したい--熟女人気のワケは、そのあたりにありそうです。弱いものを守り、支えたいという男性らしい優しさも熟女人気を後押ししているのかもしれません。
しかし、です。60代70代の男性が20も30も年下の女性に抱く正常な感情は「性愛の対象ではないが娘や孫のように可愛いのでお小遣いをたっぷり与えたい」じゃないでしょうか。与えたものの見返りは強制するものではありません。愛はgive&giveです。
いつかは……と、夢を見てしこたまお金を使うのも楽しみ方のひとつですが、お相手に見返りを強制してしまうような遊び方は、やはり常軌を逸しているというか、シンプルに「頭がおかしい」としか言いようがありません。お気を確かに。
今晩も節度を持って、楽しい夜遊びを。
<文/みずえちゃん>
【みずえちゃん】
1989年生まれ。新潟県長岡市出身。関西外国語大学卒業後、大阪市内の広告代理店に勤務する傍ら、キャバ嬢デビュー。結婚、離婚、地方の激安キャバクラを経て、現在は銀座ホステスとライターを兼業。X(旧Twitter):@mizuechan1989