大岩ジャパンの“最激戦区”中盤で必要な人材は? 藤田はクラブNGさえなければ当確、注目はオランダ組の2人
パリ五輪のアジア最終予選を兼ねるU-23アジアカップを制してから約3週間。7月下旬に開幕するパリ五輪に向け、大岩剛監督が率いるU-23日本代表のメンバー選考も本格化している。選ばれるのは18人。3つのオーバーエイジ(OA)枠の活用法に関する議論も尽きない。
一方で難しい問題も抱えており、本大会はインターナショナルマッチウィーク外の開催のため、ベストメンバーの招集を困難な状況にしている。
特に海外組の招集は不透明。現時点で所属クラブからOKが出ていたとしても、夏のマーケットの動き次第では「NO」に変わる可能性もある。実際に2016年のリオ五輪では、土壇場で海外組の久保裕也(ヤングボーイズ/現シンシナティ)が18人の最終メンバーから外れ、バックアップメンバーから鈴木武蔵(新潟/現札幌)を引き上げた。
5月下旬が期限と言われている予備登録メンバーの50人リストに誰が含まれているかは分からないが、山本昌邦ナショナルダイレクターを中心に、OAの選手も含めて海外組の選手と交渉を続けている。ギリギリまで粘り強く対話を続けていくだろう。
とはいえ、山本ダイレクターが5月24日に行なわれたA代表のメンバー発表の場で言及した通り、主軸として期待された久保建英(レアル・ソシエダ)や鈴木唯人(ブレンビー)の招集が極めて難しい状況になっている。すでにメンバー構成に影響が及び始めており、最後まで誰が選ばれるかは見通せない。
そうした状況下で海外組やOAの情勢を考えると、最も選手選考が難しくなりそうなポジションがセントラルMFだろう。
大岩監督は4−3−3のシステムをベースにしており、23人を登録できたU-23アジア杯では藤田譲瑠チマ(シント=トロイデン)、松木玖生(FC東京)、山本理仁(シント=トロイデン)を軸に据えつつ、セントラルMFに6人の選手を招集した。
基本的には1つのポジションにつき2人の選考で、アンカーを担えるタイプの選手、攻守を繋ぐ役割を担う“8番タイプ”、攻撃力に特長を持つ“10番タイプ”といった形で、異なるカラーを持つ選手をメンバーに組み込んできた。
ただ、五輪は18人で戦う。中2日の連戦を限られた人数で乗り切らなければならず、これまでのように1ポジションに2人を配するスカッドは実現できない。言うまでもなく“1人2役”を担う必要があり、他のポジションとの兼ね合いを考えても、セントラルMFに割ける人数は5名前後になるはずだ。
【PHOTO】ミャンマー&シリアと対戦!W杯アジア2次予選に挑む日本代表メンバー26人を一挙紹介!
セントラルMFにOAの選手を起用する案もあり、守田英正(ベンフィカ)や遠藤航(リバプール)といったA代表の主力組が参戦したとなれば、パリ世代が占める中盤の枠は4つになる。
セントラルMFは大岩ジャパンで最も選手層が厚いポジションであり、土壇場で不測の事態が起きたとしても、対応できるだけの面子が揃っている。一方でクラブとの交渉がスムーズにいったと仮定すれば、本大会行きの切符は狭き門とも言えるだろう。
そうした背景を踏まえたうえで候補を考えた場合、最も五輪行きに近いのは、U-23アジア杯でキャプテンを務めた藤田だ。アンカーと8番のポジションをこなせるタイプで、実力と経験はパリ世代で頭ひとつ抜けており、クラブNGがない限りは当確だろう。
U-23アジア杯で副キャプテンを務めた松木と山本であっても生き残りは簡単ではないが、鈴木と久保が参戦できないことを踏まえると、両者はセントラルMFのスカッドに加えたい。
そうすると、残された枠は1つで、10番タイプのプレーヤーがラストピースとしてメンバー入りを争う構図になると予想する。
Jリーグの舞台で抜群の決定力を武器に存在感を示し、U-23アジア杯でも印象的な活躍を見せた荒木遼太郎(FC東京)は有力候補だが、植中朝日(横浜)も見逃せない。ACLの舞台でゴールを重ね、センターフォワードを兼務できる10番タイプとして虎視眈々と本大会行きを狙っているはずだ。
海外組にも注目すべき選手がいる。大岩ジャパンでは未招集だが、欧州挑戦1年目ながらオランダ1部で25試合・5得点をマークした佐野航大(NEC)も、中盤とサイドに対応できる人材だ。
選考は非常に困難であるのは間違いないが、ラスト1枠を占ううえでキーマンになりそうなのが、サイドアタッカーの三戸舜介(スパルタ)だ。
クラブではサイドで起用されているが、大岩ジャパンでは両ウイングとインサイドハーフの役割を担ってきた。汎用性が高い三戸が“1人3役”をこなせば、起用法の幅はグッと広がる。
五輪前最後の活動として、大岩ジャパンは6月上旬のインターナショナルマッチウィークでアメリカ遠征に赴く。最終的なメンバーの見極めは北米の地で行なうことになるが、いずれにせよ、セントラルMFのポジションは、最後までベストメンバーを探っていく形になるはずだ。
取材・文●松尾祐希(サッカーライター)
一方で難しい問題も抱えており、本大会はインターナショナルマッチウィーク外の開催のため、ベストメンバーの招集を困難な状況にしている。
5月下旬が期限と言われている予備登録メンバーの50人リストに誰が含まれているかは分からないが、山本昌邦ナショナルダイレクターを中心に、OAの選手も含めて海外組の選手と交渉を続けている。ギリギリまで粘り強く対話を続けていくだろう。
とはいえ、山本ダイレクターが5月24日に行なわれたA代表のメンバー発表の場で言及した通り、主軸として期待された久保建英(レアル・ソシエダ)や鈴木唯人(ブレンビー)の招集が極めて難しい状況になっている。すでにメンバー構成に影響が及び始めており、最後まで誰が選ばれるかは見通せない。
そうした状況下で海外組やOAの情勢を考えると、最も選手選考が難しくなりそうなポジションがセントラルMFだろう。
大岩監督は4−3−3のシステムをベースにしており、23人を登録できたU-23アジア杯では藤田譲瑠チマ(シント=トロイデン)、松木玖生(FC東京)、山本理仁(シント=トロイデン)を軸に据えつつ、セントラルMFに6人の選手を招集した。
基本的には1つのポジションにつき2人の選考で、アンカーを担えるタイプの選手、攻守を繋ぐ役割を担う“8番タイプ”、攻撃力に特長を持つ“10番タイプ”といった形で、異なるカラーを持つ選手をメンバーに組み込んできた。
ただ、五輪は18人で戦う。中2日の連戦を限られた人数で乗り切らなければならず、これまでのように1ポジションに2人を配するスカッドは実現できない。言うまでもなく“1人2役”を担う必要があり、他のポジションとの兼ね合いを考えても、セントラルMFに割ける人数は5名前後になるはずだ。
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セントラルMFにOAの選手を起用する案もあり、守田英正(ベンフィカ)や遠藤航(リバプール)といったA代表の主力組が参戦したとなれば、パリ世代が占める中盤の枠は4つになる。
セントラルMFは大岩ジャパンで最も選手層が厚いポジションであり、土壇場で不測の事態が起きたとしても、対応できるだけの面子が揃っている。一方でクラブとの交渉がスムーズにいったと仮定すれば、本大会行きの切符は狭き門とも言えるだろう。
そうした背景を踏まえたうえで候補を考えた場合、最も五輪行きに近いのは、U-23アジア杯でキャプテンを務めた藤田だ。アンカーと8番のポジションをこなせるタイプで、実力と経験はパリ世代で頭ひとつ抜けており、クラブNGがない限りは当確だろう。
U-23アジア杯で副キャプテンを務めた松木と山本であっても生き残りは簡単ではないが、鈴木と久保が参戦できないことを踏まえると、両者はセントラルMFのスカッドに加えたい。
そうすると、残された枠は1つで、10番タイプのプレーヤーがラストピースとしてメンバー入りを争う構図になると予想する。
Jリーグの舞台で抜群の決定力を武器に存在感を示し、U-23アジア杯でも印象的な活躍を見せた荒木遼太郎(FC東京)は有力候補だが、植中朝日(横浜)も見逃せない。ACLの舞台でゴールを重ね、センターフォワードを兼務できる10番タイプとして虎視眈々と本大会行きを狙っているはずだ。
海外組にも注目すべき選手がいる。大岩ジャパンでは未招集だが、欧州挑戦1年目ながらオランダ1部で25試合・5得点をマークした佐野航大(NEC)も、中盤とサイドに対応できる人材だ。
選考は非常に困難であるのは間違いないが、ラスト1枠を占ううえでキーマンになりそうなのが、サイドアタッカーの三戸舜介(スパルタ)だ。
クラブではサイドで起用されているが、大岩ジャパンでは両ウイングとインサイドハーフの役割を担ってきた。汎用性が高い三戸が“1人3役”をこなせば、起用法の幅はグッと広がる。
五輪前最後の活動として、大岩ジャパンは6月上旬のインターナショナルマッチウィークでアメリカ遠征に赴く。最終的なメンバーの見極めは北米の地で行なうことになるが、いずれにせよ、セントラルMFのポジションは、最後までベストメンバーを探っていく形になるはずだ。
取材・文●松尾祐希(サッカーライター)