ボイスチェンジもカラオケもOK。Quest 3と外部マイクの相性診断
手のひらサイズでエフェクト用DSP内蔵のオーディオインターフェースが欲しい!
サードパーティメーカーを受け入れる姿勢となったMetaのQuestシリーズですが、最新バージョンのHorizon OS(V64以降)でUSB接続のマイクも許可するなど、今まで頑なに使わせなかった機能も開放するようになりました。
地味に感じるかもしれませんが、これは何気なくBIG寄りなニュース。ちょうど日本を訪れていたMeta(メタ)のMixed Reality部門担当バイスプレジデント、マーク・ラブキンさんとお会いしたので聞いてみたのですが…
「VTuberは世界規模で成長する分野だと考えています。Metaはどんなクリエイターも積極的にサポートしていく姿勢を採っていきますし、日本のVTuberさんと話したところ、現在はストリーミング配信をするのに5つくらいのソフトを使っているそうなんですね。 体験的にもエスペリンス的にも配信環境をより簡略化して、Meta Questで完結するような何かができたらいいなと思いましたよ」
Meta Quest 3の内蔵マイクの声質はシャキッとしていてハイクオリティではありますが、スマートフォンの内蔵マイクと同様に会話用に設計されたもののため、「歌ってみた」などのコンテンツ作りには向きません。
コロナ禍のZoom会議ブームのときにコンデンサーマイクが激売れしたときのように、ボイスチャットコミュニケーションにおいて、良質なマイクは魅力的なデバイスになりえます。USB接続できるマイクやゲーミングヘッドセットで演者のイケボを高められるなら、アバタートラッキングを含めた機材として、Meta Quest 3が注目されるのはもう必然だよね。
でも、実際にオンライン越しに聴こえる声の質を高めることができるのでしょうか。手持ちの機材をMeta Quest 3につなぎ、VRChatに入って確かめてみました。
Quest 3×Apple EarPods(USB-C)は声に厚みが出る
まずは、3.5mmタイプ&Lightningタイプのバリエーションを含めたら、世界でいちばん売れているんじゃないかと感じているマイクつきイヤホンの「EarPods(USB-C)」(アップル純正品)から。イヤホンケーブルの途中にあるリモコン部分にマイクが入っている製品です。
装着はもっとも楽ちん。そして肝心の声は想像以上に良質です。クールでシャープな声色のQuest 3内蔵マイクと比べて、EarPods(USB-C)は声に厚みと重みがあります。言い換えれば、説得力のある声色です。エネルギーが低音寄りとなるので男性声向きですが、2,780円でドシッとした声が使えるようになるメリットはありますね。
ってこういう話、Clubhouseでのマイクテストのときにもした記憶ある。
Quest 3×Ulanzi J12はややこもり気味
公式ECサイトでの販売価格は5,579円とリーズナブルな、USB Type-Cレシーバー付きのワイヤレスマイク「Ulanzi J12」。YouTuberを中心に人気となったモデルです。
2台のトランスミッターマイクが付属しますが、1台だけでも使用可能。実際に使ってみると、内蔵マイクの声よりこもっているし、ちょっと現実的ではないかも。
またマイクの装着場所で悩みました。Tシャツなどの首元に固定すると、Quest 3のスピーカーの音を拾ってしまいます。ラベリアマイク/ピンマイクを使ったときも、同様の悩みが勃発しそう。
Quest 3×CANON Privacy Talkなら深夜でも喋れる
キヤノンが開発した「Privacy Talk」は、カフェや電車の中など公共の場でも周囲に迷惑をかけずに喋れるマスク型マイク。USB接続にも対応していて、Meta Quest 3とは直結できます。
口元を覆うことで音漏れを防ぐスタイル。その代わり声はこもります。風邪を引いているときのような鼻声にも近いかも。
しかし、家族が寝静まってからフレンドとボイスチャットがしたいときには、便利極まるアイテムなんですよね。「りょうた!静かにしなさい!」と怒られることが激減すること確実ですから。
Quest 3×AstroA40×USB-C to 3.5mm TRRSは安心のクオリティ
安価すぎるモデルを除き、ゲーミングヘッドセットのマイク品質は侮れません。また口元ギリギリにマイクを持ってくることができるため、か細い声でも大きい声に変えられるメリットがあります。
ここでは充電用USB Type-Cケーブルが付いたType-C to 3.5mmの変換アダプタを介して、「Astro A40」(ロジクールG)とQuest 3を接続しました。声質はQuest 3 内蔵マイクと大差なし。しかし、大きな声を入れても割れにくい=ノイズゲートのせいで消えにくいメリットあり。Quest 3のマイクは自分のスピーカーが発した音を拾って音が回り込んでしまうケースがありますが、そのトラブルも確実に回避できます。
このType-C to 3.5mmの変換アダプタのメーカーは忘れてしまったのですが、確か1,000円以下で買ったはず。すでにお気に入りのゲーミングヘッドセットをお持ちの方は、このスタイルで声を取り込んではいかがでしょうか。
Quest 3×Audio Technica ATH-M50×STS-USBは高いけど納得の声
名作コンデンサーマイクAT2020のマイクカプセルを使った、激強なヘッドセットのUSB接続型が「ATH-M50xSTS-USB」(オーディオテクニカ)です。オーディオインターフェースを介さず、USB Type-Cでマイクのポテンシャルを引き出せるでしょうか。
えー。イケるじゃん。喋り声のみではありますが、ニュアンスを含めてきっちりと録り込めています。
最初は声がすこし小さいかなと思って、唇にふれるくらいの位置まで近づけてみたところ、ブーミーマシマシな近接効果もあまり感じられず。変換コネクタは必要なため横に長く飛び出てしまうUSB接続部に注意し続けられるなら、これを仕入れておけば間違いない。
お値段は2万6000円くらいしちゃうけど、その価値はあります。
Quest 3×A40×Roland E-4はカラオケによしお試しボイスチェンジャーによし
USB Audio Class対応オーディオインターフェースならMeta Quest 3で使えることがわかったので、ローランド「E-4」経由でAstro A40をつなげてみました。
リバーブ、エコー、コーラスから、オートピッチ、ボコーダーといったボーカル用エフェクトが盛りだくさんの異色作。ピッチとフォルマントを調整することで、ボイスチェンジャーとしても使えます。コレがあれば、声を着替えることができるんです。
いかにもデジタルで加工した声色になりますが、かなり遊びがいのあるオーディオインターフェースです。バッテリー内蔵で、なかなか小さいサイズというのも魅力的。Type-C to 3.5mmの変換アダプタよりもADCの品質が高く、Astro A40の声に厚みと深みもトッピング。
本当は手のひらサイズで、ボーカル用エフェクトのDSPが入ったオーディオインターフェースがあるといいんですけどね。ローランドさん。GO:MIXERの路線でひとつ、考えていただけないでしょうか。
これからのOSアップデートも楽しみ
MetaはHorizon OSのV64でMR時のパススルー画質を向上させましたし、V65以降でトラベルモードも実装するとウワサされています。これからもワクワクできる機能を盛り込んでくるでしょうねえ。楽しみです。
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Source: Meta