入居前にカーテンを手配すれば、引き渡し後すぐに、普段どおりの暮らしができます。ただ、こんなはずじゃなかったと後悔することも。10年前に二世帯住宅を建てた日刊住まいライターは、タイミング的に実際の窓を見ることができないまま、カーテン選びをすることに。住んでみると「残念なカーテン」が3か所も。その場所と後悔の理由を語ります。こうしていたら失敗しなかったという話も参考に。

カーテンをハウスメーカー経由で入居前に手配

筆者は夫と3人の息子(15、12、6歳)の5人家族。10年前に、ハウスメーカーで1階が親世帯、2階が子世帯(筆者の世帯)という、二世帯住宅を建てました。

引渡しと新居への引っ越しは、年度末のあわただしい時期。そのため、必要な家具やカーテンなどは、引渡し時点ですべてそろえておき、入居後にバタバタしないですむようにしたいと考えていました。

 

そこで、カーテンの手配は、すべてハウスメーカーに依頼。ハウスメーカーは窓のサイズや形状を把握しています。ですから、タイプや生地さえ選択すれば、あとはお任せでOK。引渡しまでに取りつけをすませておいてくれるのです。

このおかげで、入居直後から外からの目線を気にすることなく、普段どおりの暮らしを送ることができました。また、引っ越しやそれにともなう手続きなどでバタバタするなか、カーテンの採寸や手配という雑事に、わずらわされずにすんだことは、もとてもよかったと思っています。

ただ、わが家は工期の短いユニット工法(※)で建てたこともあり、現地で窓を確認する前にカーテンを決定する必要がありました。図面だけを見てカーテンを決定したことで、やはり「思っていたものと違った…」という後悔は生まれてしまいました。とくに後悔の大きかったカーテンは3か所あります。

※家の骨格や外壁などは工場でユニット単位で生産し、現地でユニットの組み立ておよび内装工事のみ行う工法。品質が安定しており、工期が短いというメリットがある。ただ、工場生産までに仕様を完全フィックスする必要があり、現場で柔軟な変更ができないというデメリットも

1.リビング掃き出し窓のシェードのたたみ代が大きい!

リビングの掃き出し窓には、ダブルシェードのカーテンを選びました。フラットですっきりしていることや、選んだ生地の質感や色合いはとても気に入っています。

 

ただ残念だったのは、シェードを全開にすると窓の上部20cmほどが、たたみ代(シェードの生地のたまり)で隠れてしまうこと。窓の開口部の高さが約200cmなので、1割ほどが隠れてしまっていることになります。

部屋の明るさに影響があるというほどではありません。しかし、せっかくの大きな窓を一部ふさいでしまっていることで、見た目は損なわれているように感じます。

とは言え、上部にたたみ代が発生してしまうのは、シェードを選んだ時点でわかっていたことです。

じつは筆者は、ダブルシェードに決めた際に、ハウスメーカーの担当者に「シェード取りつけ用のブラケットは、できるだけ上の方に設置してほしい」とお願いしていました。窓枠のすぐ上ではなく天井ギリギリの位置にブラケットを設置すれば、窓にかかる布のたまり部分をできるだけ少なくすることができると思ったためです。

 

ところが、実際設置されたブラケットは窓枠のすぐ上。口頭でのやり取りだったこともあり、取りつけ位置の希望が、きちんと伝わっていなかったのです。結果、窓の上側には十分に余白があるのに、たまり部分はまるまる窓にかかってしまうという、残念な仕上がりとなってしまいました。

わかっていたのにコミュニケーション不足で失敗ポイントとなってしまったことが、より残念に感じる部分でもあります。実際に現地で窓を見ながら、取りつけ位置まで指定して採寸すれば、防げたのではないかと思っています。

2.小さな窓にダブルシェードのムダづかい

もう1つの残念なカーテンは、LDK内にある60cm四方の窓に選んだもの。

この窓は前述の掃き出し窓があるリビングと、隣り合ったスペースにあるため、統一感を持たせようと、同じダブルシェードのカーテンを選びました。これが大失敗。

 

小さな窓のシェードであっても、やはりたたみ代ができるので、あけた状態でも3分の1ほどが隠れてしまうのです。

そもそもこんな小さな窓なので、簡易的に目隠しができればよく、そこまでの遮光は必要はありませんでした。そのため、ダブルシェードのような値の張る凝ったものではなく、安価でシンプルなロールスクリーンなどで十分でした。実際住み始めてからも、ドレープ生地(内側の厚い生地)側を閉めたことはほとんどありません。

この失敗の原因は、窓のサイズ感をきちんと把握できていなかったこと。

検討時、60cm四方の窓がどのくらいかというのは、メジャーで再現して確認はしていました。でも、実際の壁に設置された状態を見ると、想像していた以上にずっと小さい!

実際の立面での見え方が、図面から想像できるものとこんなに違うとはと驚きました。もし先に現地で窓を確認していたら、絶対にダブルシェードは選んでいなかったでしょう。

掃き出し窓のように、外からの目線をそこまで気にしなくてもよい窓。今考えると、あせって入居前にカーテンを決定する必要もなかったと思っています。

3.北側くもりガラスの窓にカーテンは不要

そして最後の残念なカーテンが、子ども部屋に設置したものです。子ども部屋は、北側の壁面に60cm四方の窓を2つ並べて設置しています。LDK内の60cm四方の窓と同じサイズです。

この部屋は子どもたちの寝室でもあるので、光をしっかり遮断できた方がよいだろうと考えました。そこで生地をスライドさせて明るさを調節できる、ロールスクリーンを選んだのです。

シェードと異なりロールスクリーンはたまりができないため、窓の一部が隠れてしまうことはありません。また、別の壁面(西側)にあるひと回り大きな窓とそろえたことで、部屋に統一感も生まれました。ですから当初は、とても気に入っていました。

 

ところが、しばらくしてこのロールスクリーンも、閉める機会がほとんどないことに気がつきました。

北側なのでそこまで強い光は入りません。おまけにくもりガラスなので、外からの目線も気になりません。閉める必要があまりないのです。換気のために頻繁に窓を開閉することもあり、結局ほとんどロールスクリーンはあけた状態に。

さらに、子どもたちが成長して家具が増えてくると、むしろロールスクリーンの出っ張りをジャマに感じるように…。

 

結局2年ほどたって家具が増えてきたタイミングで、ロールスクリーンを撤去してしまいました。

それなりに費用をかけて設置したロールスクリーンが、たった2年でお役御免に。ムダな費用をかけてしまったと、かなりガッカリしました。リビングの小窓と同様、暮らし始めて必要性を判断してからでも、遅くなかったと反省。高い勉強代となりました。

生活上必須でないカーテンは、あとから設置で十分だった

こうして振り返ってみると、カーテンは暮らし始めてから、選ぶ方がよかったと思います。それなら、実際の光の入り方、外からの目線の気になり具合、壁面に対する窓のバランスなどを確認できるからです。

ただそれでは、カーテンなしで暮らす期間ができてしまうことに。入居直後のあわただしいなかで、カーテンを手配するのはとても大変です。

そう考えると、正解は「すべて入居前に」でもなく、「すべて入居後に」でもなかったと、筆者は思います。つまり以下の方法です。

・カーテンがないと丸見えになってしまう掃き出し窓などは入居前に
・すぐ使わない部屋の窓や小さな窓などは入居後に

このように2段階に分ければ、きっと後悔しないですんだと思っています。