毎日続く片づけ。つい先延ばしにしてしまうと、どんどん大変になってしまうもの。シンプル暮らしに関しての著作もある原田さよさんは整理収納アドバイザーの資格があり、50代60代女性への暮らしについて発信中です。そんな原田さんが、人生後半戦をしっかり楽しむために、覚えておきたい片づけの習慣について語ります。

先延ばし癖を今のうちになくしておく

片づけられない人の特徴という記事で、よく指摘されているのが、「何事もとりかかるまでに時間がかかる(先延ばしする習慣がある)」というものです。自分自身に言い訳をして、やらないですむ理由を見つけるのが上手と言うのも、そこに含まれるかもしれません。はい、かつての私のことですね。
この年齢になると、さすがに先延ばしすればするほど大変になることがわかっているので、気になり始めたら、とりあえず手をつけるようにしています。始めてみると勢いがつき、さほど時間がかからずできてしまうことが多いもの。これはほかの家事でも同じでした。

なにごとも取りかかるまでに時間がかかってしまう人は片づけも苦手な傾向にあるようですが、そこには「隠された完璧主義」もあると思います。どうせ片づけるなら一気に劇的にすっきりさせたいと思うけれど、きっと疲れて最後までできないとわかっているから、始める前から、つい後まわしにしようとしてしまうのかもしれません。

50歳で家じゅうの片づけを始める前の私が、まさにこのタイプでした。でも、大きな成果を求めず、目の前にある気になっていることから始めるうちに、だんだん家の中も気持ちもスッキリしてくるようになりました。限られた時間、やるべきことはササッとこなして、自分の時間に集中したいですね。

面倒なことは、とりあえず手を動かしてみる

マットレスを上げてベッド下を掃除し、こもっている湿気も飛ばしたい。ベッドについている小さな収納のなかも整理したい。先日からこんなことを思っていたものの、あれやこれやと言い訳をしていることに気づき、「えいっ」と勢いをつけてやりました。終えると想像以上に気分がさっぱりしました。

サボっていたベッドまわりの掃除をしたことで弾みがつき、寝室の床のふき掃除も久しぶりにやりました。さらに、ものが減ってスカスカになっている屋根裏部屋やロフトにもスティックの掃除機をかけました。いつもはしない掃除をして、すごく動いていた気がするけれど、1時間もかかりませんでした。

このように、動く前は面倒で時間もかかりそうだと思っていても、いざ始めるとあっという間だったということが多いです。こんなに気持ちまでさっぱりするなら、もっと早くにやればよかったと思うほど。

自分のやる気に頼るのではなく、動きながら、やる気を上げていきます。この「気になっていることは、とりあえずやってみる」という習慣を、今つけておくと人生後半戦はいろいろラクになるはずです。

管理する物事をできるだけ減らす

散らかった自分の部屋が嫌でまっすぐ帰る気になれず、カフェへ寄ってから電車に乗る。家に入る前にため息をつく。私の会社員時代は、そんな日々でした。結婚してからはそうそう寄り道もできなくなったけれど、気持ちは似たようなものでした。片づけなきゃとは思うものの、なんだかんだと理由をつけて先延ばしにしていました。すっきりした部屋のほうが疲れも取れるし気分も上がるから、片づけはしておいたほうがいい、ということを理解できていなかったと思います。

私が家の片づけを本気でやろうと決めたのが、10年前のちょうど50歳のときです。目標は、「管理する物事をできるだけ減らして、人生後半をラクに暮らす」というシンプルなものでした。気になっていることをたくさん抱えたままでは、決して人生後半を楽しめないということに気づくことができたのです。

いったん始めたら、あとはやる気をいかに維持するか。重たい腰をどのようにして上げるか。でもその課題は、片づけをとりあえず進めるうちに徐々にクリアできました。一か所すっきりするたびに達成感があり、それを次へと活かせたから。完璧を求めずに始めてみることが、思ったより成果があったからです。

 

もしかすると私と似たタイプの方もいるかもしれません。これからは、小さなやる気を味方につけて先延ばしせず、気持ちいい部屋をキープし、人生後半を身軽に暮らしていきましょう。私も心がけます!

 

原田さよさんの書籍『50代はやめどき、捨てどき、楽しみどき』(扶桑社刊)が発売中。