現地時間の2024年3月5日(火)、アメリカと中国共産党の戦略的競争に関する下院特別委員会で委員長を務めるマイク・ギャラガー下院議員(共和党、ウィスコンシン州選出)とラジャ・クリシュナムーティ下院議員(民主党、イリノイ州選出)が、「外国の敵が管理するアプリケーションからアメリカ国民を守るための法案」を発表しました。アメリカではTikTok排斥に向けた動きが一時活発になっていましたが、今回の法案はこれに続く新たな取り組みとなります。

Gallagher, Bipartisan Coalition Introduce Legislation to Protect Americans From Foreign Adversary Controlled Applications, Including TikTok | Select Committee on the CCP

https://selectcommitteeontheccp.house.gov/media/press-releases/gallagher-bipartisan-coalition-introduce-legislation-protect-americans-0



Lawmakers introduce bill that would punish app stores for hosting TikTok - The Verge

https://www.theverge.com/2024/3/5/24091278/congress-tiktok-bytedance-ban-divest-bill

W.H. works with Hill to ban TikTok

https://punchbowl.news/article/gallagher-krishnamoorthi-tiktok-bill-gets-white-house-backing/

U.S. lawmakers push for ByteDance to divest TikTok or face ban | Reuters

https://www.reuters.com/technology/lawmakers-seek-force-bytedance-divest-tiktok-or-face-us-ban-2024-03-05/

ギャラガー下院議員とクリシュナムーティ下院議員が提出した「外国の敵が管理するアプリケーションからアメリカ国民を守るための法案」は、外国の敵対者の支配下にあるアプリケーションに対して、敵対者との関係を断たない限りアメリカ国内でのアプリストアおよびウェブホスティングサービスの利用を禁止するというものです。

法案では事例としてTikTokの開発元であるByteDanceの名前が挙げられており、「中国政府の支配下にあるByteDanceとの関係を断たない限り、TikTokを含むByteDanceが管理するアプリケーションがアメリカ国内のアプリストアおよびウェブホスティングサービスを利用することを禁止する」としています。

アプリストアが「外国の敵対者の支配下にあるアプリケーション」の配布を続けた場合、アプリストアに対して当該アプリケーションに「アクセス・アップデート」したアメリカ人ユーザー1人当たり5000ドルの罰金が科せられることとなる模様。



また、アメリカ合衆国大統領が中国・ロシア・イラン・北朝鮮などの「外国の敵対者」が運用するソーシャルメディア企業を法案の対象として指定するプロセスも作成されます。つまり、指定された企業が所有しアメリカ国内で配布しているアプリケーションは、アメリカのアプリストアおよびウェブホスティングサービスから切断される必要があるというわけです。

アメリカでは2020年にもTikTokに対するプライバシー上の問題や複数の法令違反を理由に、ByteDanceに対して「TikTokをアメリカ企業に売却すること」を要求していました。しかし、この取り組みは既存の法律の適用範囲や政府に付与される権限に対する懸念などにより、最終的に実現には至りませんでした。

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今回提出された「外国の敵が管理するアプリケーションからアメリカ国民を守るための法案」は、潜在的な憲法上の懸念を回避できるよう作成されています。事例としてByteDanceの名前が挙げられているものの、個別の企業に対する罰則とみなされることを避けるよう作成されています。

TikTokは中国企業のByteDanceが所有していますが、同社はアメリカのユーザーデータはアメリカ国内にあるサーバーに保管しており、ByteDance本社からはアクセスできないようになっていると主張しています。しかし、これに対しては「依然としてアメリカのデータが中国本社と共有されている」という指摘もあります。なお、アメリカ政府側が「アメリカ国民に関する情報を中国のサーバーに保管すること」に難色を示しているのは、中国政府が中国国家安全法を理由にアメリカユーザーの情報引き渡しを強制する可能性があると懸念しているためです。

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TikTokの広報担当者であるアレックス・ハウレック氏は、今回の法案について「作成者がどれだけ隠蔽しようとしても、これがTikTokを禁止するためのものであることは明らかです」「この法律は1億7000万人のアメリカ人が保有する合衆国憲法修正第1条の権利を踏みにじり、500万の中小企業が成長と雇用創出に依存しているTikTokを奪うことになります」と言及。TikTok公式X(旧Twitter)アカウントのひとつであるTikTok Policyでも同様の声明が投稿されています。