「お前はみんなの犬」上司のパワハラでうつ病になった男性 10年後、立場逆転「今は私の方が上です」

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自分を深く傷つけた言葉は何年経っても忘れられないものだ。新潟県の30代前半の男性(素材・化学・食品・医薬品技術職/年収550万円)は、現在勤める会社で新人のとき、上司から

「お前はみんなの犬なんだから、先輩に何か言われても『はい』以外言っちゃダメなんだよ!」

と言われたことがあるという。およそ10年前の出来事だ。この言葉が男性に与えた影響は、非常に大きなものだった。(文:谷城ヤエ)

どんな事でも「先輩に言われたら『はい』としか言えませんでした」

「この言葉のせいでパワハラを受けて精神を病んでいた私は、『そうしなきゃダメなんだ』と思い込んでしまい、どんなに自分が忙しい時でも、どんなに難易度が明らかに高い仕事をやれと言われても、先輩に言われたら『はい』としか言えませんでした」

こんな生活を続けたことで男性の精神状態はさらに悪化。

「最後にはうつ病になり『死にたい』と思うようになりました」

しかし、職場以外の人に恵まれた男性は、なんとかどん底から這い上がったそうだ。

「プライベートで支えてくれる人が多くいた為、最終的には何とか乗り切りうつ病も完治しました」

「行き過ぎた教育をし続けた人たちはどんどん飛ばされ…」

これは「10年ほど前の話」として、当時の風潮をこう振り返る。

「当時はパワハラという言葉こそありましたが、それほど問題視されていませんでした。昔ながらの叩き上げによる教育が横行してました。それが100%悪いとは言いませんが、この上司のように行き過ぎる人は、人格を否定したり、暴力を振るったりということがありました」

いくら「後輩のため」という認識だとしても、指導の域を超えたやり方は望ましくない。

「しかしここ数年でパワハラに対する対策が強化され、それでも行き過ぎた教育をし続けた人たちはどんどん飛ばされていきました。その上司もパワハラで同部署の別のフロアに異動になりました。ちなみに立場的には今は私の方が上です」

徐々に職場が改善されていき、男性も今は元気に働けているようだ。上司について

「一度落ちるところまで落ちたから頑張れている気がします。そういう意味ではこの上司にはある意味感謝です」

と皮肉めいた言葉を綴った。

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