婚活苦戦中の男女にみる「相手への高い要求」問題
婚活する男女の事例を紹介しながら、お相手探しのポイントを解説します(写真:プラナ/PIXTA)
“結婚をしたい”という気持ちから婚活を始めたものの、年月が経ち婚活に苦戦してくると、「私は、本当に結婚がしたかったのか?」「どんな結婚をしたらいいのか」と迷うことがある。
仲人として婚活現場に関わる筆者が、婚活者に焦点を当てて苦労や成婚体験をリアルな声とともにお届けしていく連載。今回は、さまざまな事例を見ていきながら、お相手探しのポイントを解説。あなたの婚活の参考にしていただけたらうれしい。
結婚をしたら子どもを授かり、家庭を作っていきいと思っている婚活者は、相手の人柄を見ていきながら、どんな経済状況の生活を望むか、どんな子育てをしたいかを考えて婚活するといいだろう。
年収高い年上か平均的な同世代か
さとみ(31歳、仮名)は、学生時代から仲の良かった同い年のゆうこ(仮名)が30歳手前で結婚をし、31歳で出産をしたのを目の当たりにして、結婚を現実のものとして捉えるようになった。
ゆうこが結婚したのは同い年の男性だったので、自分も結婚するならなるべく年の近い男性がいいと思っていた。「友だちのような夫婦関係が理想です」と、入会面談で語っていた。
結婚相談所のサイトに登録をしたのだが、お申し込みをかけてくる同い年の男性の年収は、それほど高くない。年齢を上げてアラフォー男性ならば、1000万円超えの人からのお申し込みがかかってくる。
「年の近い人にこだわっていたけれど、年収のある男性のほうが、結婚後の暮らしが楽になることは確かなので、上の人にも会ってみます」
そう言って、40代前半にまで年齢を広げたのだが、年上男性と数人のお見合いをして、こんな感想を漏らした。
「10歳以上離れていると、やはり話していてジェネレーションギャップを感じました。あと、年収の高い男性は、物言いが上から目線の人が多かった。デート代はすべて払ってくださいましたが、“女性が自分の時間や生活スタイルに合わせて当然”だと思っている気がしました」
年収も年齢も同じくらいの男性とのデートは割り勘が多かったが、何をするにもこちらの意見を聞いて、時間なども合わせてくれた。
そこで筆者はさとみには、こんなアドバイスをした。
「家庭を築いていくなかで、自分が何を一番に求めているのかを考えてみたらいいのではないですか?」
イコールな目線で、パートナーと何でも話し合える家庭を築きたいなら、やはり同世代の男性を選んだほうがいいだろう。ただし、そこでパートナーに高年収が望めなかった場合は、女性もイコールな立場で仕事を続けていく。この場合、家事や育児も分担となるだろう。
子どもは私立に入れて、お金をかけた教育を施したい。習いごともさせたい。豊かな暮らしを望むのであれば、家庭内の年収は、重要視しなくてはならない。
女性の年収が高ければいいが、年収が平均的もしくは平均よりも低いのであれば、高年収の男性との結婚を考える。そのときには年齢やそこに感じるジェネレーションギャップにも目をつむらなくてはいけないだろう。
そして最終的にさとみが選んだのは、同世代で年収も同等の男性との結婚だった。結婚して子どもを授かっても、仕事は続けていくという。
子どもを望まない相手を探す
みほこ(46歳、仮名)は、30代の頃、7年ほど同棲をしていた恋人がいたのだが、40歳を手前にして、恋人関係を解消した。
「いい人がいたら、今度はちゃんと入籍をして、結婚したい。できることなら、最後のチャンスに子どもを授かりたい」と思っていたのだが、いい人に出会えぬままに、46歳になってしまった。
「出産は年齢的に厳しいので、これからの人生をともに歩いていける男性を探したいです。なるべくなら同世代の男性がいいです」
入会面談のときに、こう言っていた。
ところが、いざ婚活を始めてみると、同世代の男性は8割方、子どもを希望していることがわかった。
「びっくりしました。50代、60代になっても、男性は子どもを希望しているんですね。しかも、そうした男性の年収は平均値の人が多くて、特別高いわけではない。資産も持ち家程度。子どもを育てるのには、相当のお金がかかりますよね。どうやって、子育てしていくつもりなのでしょうか? 相当な預貯金がおありなのでしょうか?」
「結婚したら、子どもを授かりたい」という40代後半、50代、60代の婚活者がとても多いのが、婚活の現状だ。初婚者はもちろん、再婚者でも前の結婚で子どもを授かっていないと、次の結婚では子どもを望む。
ただ、そんな男性婚活者たちが、子どもを出産することができる年の離れた女性と結婚できる確率は極めて低い。これも婚活の現状だ。
また、どんなに高年収であっても、15も20も年下の女性と結婚するのは至難の業。なので、かたくなに子どもにこだわっていると、成婚できないまま年月だけがむやみに過ぎていく……。
筆者が、みほこのような女性に勧めるお相手は、再婚者で前の結婚で子どもを授かっている男性だ。
みほこの年齢なら、対象男性がアラフィフになるので、自分が親権を取っているにしろ、別れた妻が親権を取っているにしろ、子どもは大学生や社会人になっており、もう手がかからなくなっている。
子どもが成長した姿を見届けている男性というのは、再婚したときに自分の新たな子どもを望まない傾向にある。それは、子育てにどれだけの時間と体力とお金がかかるのか、わかっているからだろう。
みほこは、子育てをすでに終えている再婚者を対象にして、現在も果敢にお見合いをしている。
再婚者の子どもに嫉妬する初婚者?
かずこ(49歳、仮名)は年齢的に子どもをあきめていたので、先の筆者のアドバイス通り、再婚で子どもがすでに大きくなっている男性に多くのお申し込みをかけていた。ただ、子どもが男の子で、女の子の子どもがいる人には申し込みをかけていなかった。
なぜなのか理由を聞くと、こんな答えが返ってきた。
「娘さんだった場合、パートナーが娘さんに優しくしているのを見たときに、同性として焼きもちを焼いてしまうと思うんです」
相手は娘で、赤の他人の若い女性ではないのだが、そこは初婚女性独特のピュアな感覚なのだろう。
逆のケースもある。
のぶお(54歳、仮名)は、「シングルマザーでも、自分の子どもを産んでくれる人ならいいです。ただし、すでにいる子どもは男の子ではなく女の子が希望です」と言っていた。
なぜ、男の子だとダメなのか。
「母親が自分よりも子どもを優先させるのを見ると、いい気持ちがしないと思うんです。あと、反抗期になったときに、父親然とできるかどうか。どう接していいかわからない」
初婚者にとって子育ては未知の世界なので、パートナーの子どもが自分と同じ性別だと、そこに彼(彼女)らを受け入れられない感情が生まれしまうのかもしれない。
こうした人たちには、「子どもの性別への先入観は取り払って、お相手やお子さんとお会いし、波長や相性を見たらいいのではないですか」と、筆者はアドバイスしている。
「子どもの性別で、お見合いできるチャンスを減らしてしまうのはもったいない」という言葉が響いたのか、かずこはその後、子どもの性別には関係なく見合いをするようになったが、のぶおはかたくなだった。
再婚者同士の結婚はうまくいくか
では、再婚者同士の結婚はどうか。これは、前の結婚生活がどのくらいの期間だったか、また再婚者同士の年齢がいくつなのかにもよると思う。
しのぶ(34歳、仮名)は、4歳の女の子を持つシングルマザーだ。清楚な雰囲気の美人なのだが、申し込みが来るのは、40代、50代の年の離れた初婚男性ばかり。同世代の初婚男性のお申し込みがたまにあるとお会いしてみるものの、会話がうまくできないタイプが多く、交際までたどりつかなかった。
そんなとき、4歳の男の子が別れた妻側にいるというしんや(36歳、仮名)と見合いをした。しんやが離婚したのは、2年前のこと。元妻に好きな男性ができたことが離婚理由だった。
「日本では子どもが小さいと、親権は原則母親が取る。実際自分は日々の仕事があるので、子どもを引き取ることは無理だった。離婚でつらかったのは、子どもと離れ離れになることでした」
お見合いのときに、しんやはこう言っていた。そして、お見合い後、交際に入ると、しのぶの子どもを交えたデートを希望し、娘もすぐにしんやに懐いた。
この2人は、あっという間に成婚を決めた。
この2人がうまくいったのは、お互いの年齢が近かったこと。お互いの子どもの年齢が同じだったこと、だろう。前の結婚期間が2人とも2年程度で、それまでの経験値が似ていたために、わかり合えるところも多かったからではないか。
では、熟年同士の再婚は、どうか。
あき(53歳、仮名)は、長女が社会人になったのをきっかけに3年前に離婚。そして、長男が社会人になった今年、自分の第二の人生を歩もうと、婚活をスタートさせた。
いくつかのお見合いを経て、としはる(52歳、仮名)と交際に入ったのだが、この交際にはとても前向きだった。としはるは、5年前に妻を病気で亡くしていて、20歳になる長女と23歳になる長男がいた。
長女は大学の近くに一人暮らし。長男はすでに就職し、こちらも一人暮らし。親子仲がとてもよかった。
あきが、あるときこんな相談を持ちかけてきた。
「としはるさんは、私とのデートよりも、お子さんとの約束が優先なんですよね。2週間ほど前に、『今度の3連休は、車を出すので遠出しましょう』とおっしゃっていたのに、昨日、『ごめんなさい。3連休は娘が帰ってくることになったので、一緒に過ごしてあげようと思います』と、キャンセルされました」
これに対して、筆者は言った。
「娘さんも、息子さんもいつかは独立をして、親から離れていきます。でも、もしも再婚をしたら、あきさんはとしはるさんと、毎日一つ屋根の下でこれからの人生を暮らすことになる。今お子さんを優先させているのは、むしろよいことではないですか?」
結婚生活が20年以上経ってから熟年離婚した。もしくは死別をした。そこから再婚しようという人たちは、すでに長年をかけて築いた一つの家庭があり、そこでの子どもたちとの関係もある。
お互いの家庭があって、その上に成り立つ再婚なのだから、前の家族の存在は丸ごと認め、その親子関係には口出しをしないほうがいい。
あきととしはるは、焦らずに、ゆっくりとお互いの関係を育んでいる。
100組のカップルがいたら、100通りの関係の築き方があるだろう。年齢がいくつか、初婚か再婚かによっても、結婚への考え方は、違ってくる。今回紹介したのはほんの数例だが、自分にとっての結婚の落としどころを見つけて、お相手探しをしてみてはどうだろうか。
(鎌田 れい : 仲人・ライター)