広さやコスト面から、自宅のトイレに手洗い場をつくらないケースがあります。3年前にハウスメーカーで家を建てた日刊住まいライターもそんなひとり。トイレに手洗器がついていれば十分だと思っていました。しかし、小さな子どもがいると、トイレを汚すこともしばしば。衛生面も考慮して、石けんでちゃんと洗いたいと思っても、洗面所が離れていてLDKを経由する必要が。手洗い場をつくればよかったと後悔しています。

メインの1階トイレは洗面所から遠い場所に

わが家は子ども2人(5歳、1歳)を含む4人家族。3年前に大手ハウスメーカーで総2階の家を建てました。各階にトイレが1か所ずつある間取りです。

トイレはいずれもタンクありを採用しました。タンクレストイレより割安で、コストダウンができることが理由です。また、タンク部分に目隠しの板を張ったデザインなので、タンクが目立たず、すっきりとした印象なのもいいと思ったからです。

しかし、実際に暮らしてみると、想定していなかったことで、不便に思うことがありました。詳しく紹介します。

 

洗面所で手洗いすることが想定外に多かった!

間取り決めの際は、タンクから出る水で手を洗えば十分と考えていました。しかし、暮らし始めると、石けんで手を洗う必要があるケースが多いことに気づきました。

トイレ内やその近くには、独立した手洗い場はありません。ですから、トイレを使ったあとに石けんで手を洗う場合は、キッチンに近い場所にある洗面所を利用することになります。この洗面所に行くには、LDKのドアをあけ、通り抜けないと行けないのです。

わが家には未就学の子どもが2人います。子どもたちは、しょっちゅう便座や便器周辺を汚します。その掃除や、子どもが自分でおしりをふけず、代わりに大人がふいたあとなど、手をしっかり洗いたいのに洗えません。

こういった場面が多いと、トイレ内に手洗い場を設置して、石けんを置くようにすればよかったと思うのです。

現状は水洗いとアルコール消毒液で対応

トイレ内では、石けんで手を洗うことができないため、代わりにアルコール消毒液を置いています。ちなみにアルコール消毒液は、ノロウイルスなどにも対応できるものを使用しています。

じつは筆者は、大学で工学博士を取得し、洗剤メーカーに勤務しています。その知識から、ノロウイルスなどの特殊なウイルス(ノンエンペローブウイルスといわれる)は、アルコールに耐性があることを知っています。ですから、対応できるように設計されているアルコール消毒液を使っているのです。

普段は、トイレのあと水で手を洗い、その後、アルコールで消毒するようにしています。ただ、アルコールには洗浄効果がほとんどないため、汚れを落とすことには向いていません。ですから、汚れがついた場合は、このあと洗面所に行って、改めて石けんで手を洗うようにしています。

トイレと洗面所で2度手間になってしまっていますが、衛生面を考えると仕方ないと考えています。

衛生面を考えるとトイレの手洗い場をつくるべきだった

筆者は、家を建てるときは気にしていませんでしたが、衛生面を考えると、トイレ内に手洗い場をつくるべきだったと後悔しています。

1階のトイレだけでなく、2階のトイレにも必要でした。というのは、家族同士のトイレが重なることが多く、2つ同時に使うこともあります。2階のトイレを使った場合、石けんで手洗いが必要なときは、1階の洗面所まで階段を下りて来ないといけないからです。

これがとても面倒。できることなら2階にも洗面所が欲しかった。せめてトイレに手洗い場があれば、階段を下りて洗面所に行く必要はありませんでした。

子どもの集団感染がよくニュースになるノロウイルス、家庭ではトイレで感染するリスクが高いといわれています。筆者もノロウイルスによる、ウイルス性胃腸炎に感染したことがあります。脱水症状もともない、1週間入院することに。

もちろん、わが家のケースでトイレが感染経路だったかは不明です。しかし、家の中での感染を防ぐためにも、石けんでのこまめな手洗いが大事なことに変わりはありません。快適な日々の生活を送るためにも、今さらながら石けんで手を洗える手洗い場を、トイレにつくればよかったと感じています。