日本では6割の夫婦が陥るといわれるセックスレス。「夫はひとりで死んでも自業自得」と話すのは主婦の沙織さん(仮名・45歳)です。DVが原因で10年を超えるレスに陥り、夫婦関係は完全に破綻したまま。3年前のコロナ禍で、夫との価値観の違いがさらに浮き彫りになっていきました。

いかがわしい店に出入りする夫に愛情は消えた

二人目妊娠中からのDVがきっかけで別居をしたものの、アルバイトの母子暮らしという社会的に弱い立場での生活に行き詰まってしまった沙織さん。反省したという夫が迎えに来て、新しい家で再スタートをきりました。

しかし夫がいかがわしいお店に出入りし、不特定多数の女性と関係をもっていたことが発覚。愛情は完全に消えたまま、年月だけが過ぎていったある日、夫婦間で価値観の違いが浮き彫りになる出来事が発生しました。2020年の春。コロナ禍でのお話です。

遊びに出かけて、あっさりコロナに感染した夫

コロナ感染者が乗ったクルーズ船が日本に来た、有名人が亡くなったという話題がニュースになっていた頃。沙織さんが勤めていた美容室も臨時休業に追い込まれ、娘たちの小学校は休校。謎の新型ウイルスから家庭を守るべく、神経を尖らせていた時期でした。

「夫が、『俺、幹事だから行かないわけにいかない』といって、飲みに出かけてしまったんです。子どもたちのほうが賢いくらいでした。『お父さん、こういう時期は家にいないとダメだよ』って娘が説得しても、聞く耳持たず。『うるせぇな』といって出かけていき、あっさり感染。熱も出して、『風邪の症状がある』といいながら仕事は休むけれど、『ちょっと野暮用』と出かけるというモラルの低い行動に」と沙織さん。

「数日後、状態が悪化。病院を受診した頃には酷い肺炎を起こしていて即入院。当時は医療関係者の人ですら防護服やマスクがたりないといって苦労されていたのに、夫みたいになにも考えずに出歩いて感染した人が多くの人の手を煩わせていることに、怒りを感じました」

妻として恥ずかしい思いだったという夫のコロナ感染。面会もNGでしたが、沙織さんだけではなく、娘たちも呆れて心配するというよりどこか見放した様子でした。

夫の入院中、娘が深刻な顔で…

「死んじゃえばいいのに…とまでは思わないですが、夫の入院中、心配もしなかったです。自業自得でしょという憤りのほうが強くて。夫なしでも、娘たちとの3人暮らしに、なにも不便を感じませんでした。あの産後のDVのときに、気持ち的には終わっていたんですよね」と思い出す沙織さん。

「それと夫の入院中、長女が私に『お父さん、浮気してんじゃない?』って深刻そうな顔して相談してきたんですよ」

沙織さんの夫は、50代に入り老眼が進んでいたせいで、スマホの文字を打つことが難しくなり、音声入力をよく使っていたそうなのですが、「○〇町 ラブホ」と調べ物をしているのを聞いてしまったのだそう。

「浮気とか不倫っていうほど、まともに女性とつき合っている感じじゃなかったので、そういうのが好きな人とワンナイトみたいな感じで遊んでいたんでしょうね。けれど、そういういかがわしい調べ物をしていることを知ってしまった長女は、それ以降、父親を気持ち悪がるようになってしまいました。私にとって夫は本当にどうでもいい人なので『ははは、そんなことしてたんだ。まったくバカね〜』って明るく流したけれど、娘の立場からしたらショックでしたよね、きっと。夫の女遊びに勘づいている娘に、どう対応すればいいのか、今でも悩んでいます」

長女が父親を気持ち悪がるように…

夫は無事にコロナによる肺炎から回復し退院をしたものの、当時は世間体も悪く、沙織さん一家はとても肩身の狭い思いをすることになりました。夫のコロナ感染はすぐに近所に知られるところとなり、娘たちも沙織さん自身も、スーパーへ買い出しに行くだけでも、こそこそしなければならないような状況に。

「とくに娘は、今まで親しくしていたお友達に、あいさつをスルーされたりしたようです。思春期の女の子同士のやり取りにあまり親が口出しもしにくかったので、相談してくれるのを待っていたのですが『どうして私がこんな目に遭わなければならないの?』って言われたときには言葉に詰まりました」と沙織さん。

コロナ対策の意識が低いうえに、浮気までしている父親を嫌悪する気持ちが増幅していく長女。沙織さん自身も「あんなバカな男と、10年前にきっちりケジメをつけていれば、娘がこんな思いをしなくてすんだのに」と悔やむことになってしまいました。
しかし、家の中で妻にも娘にも嫌われていることにすら気がつかない鈍感ぶりを発揮。沙織さんのスマホに、夫から「久しぶりにしませんか?」と敬語のLINEがきてゾッとしたというお話はまた次回。