男性の更年期障害がメディアで取り上げられ、「もしかして夫がそうかもしれない」と感じることがありませんか? そんなモヤモヤを解消すべく、産婦人科専門医の高尾美穂先生が「男性の更年期障害」について親身になって答えてくれました。

最近怒りっぽくなった夫。もしかして男性の更年期?

【読者の悩み】

43歳の夫が怒りっぽくなり、娘を怒鳴ることが増えています。温厚な性格だったのに3日に1度はイライラ…。性欲は変わらないようですが、男性の更年期を疑っています。どのように接したらいいですか。(Mさん・49歳)

イライラはストレスが大きな要因

女性の更年期障害の理解が広まると同時に、男性の更年期障害がメディアで取り上げられるようになりました。それだけに心配する人も増えていますが、実際には男性で更年期障害と診断される人は女性の3分の1。つまりそこまで多くない、というのが現状です。

男性の更年期障害が起こる原因は、ストレスなどによる男性ホルモン(テストステロン)の急激な減少。それにより、イライラや落ち込みなどの精神症状、疲労感、発汗やほてりなどの身体症状、性欲減退などの性機能症状などがみられます。

女性の更年期障害が起こるのは閉経前後です。一方、男性の更年期障害は発症の年齢に個人差があり、何歳でも起こり得ます。なお、男性の更年期障害は女性と同様、几帳面でまじめな人ほど起こりやすいといわれています。

心配なら一度泌尿器科で相談を

相談者さんの夫は、会社では重要なポストに就いていることが多い年齢。仕事のストレスが重なりやすい時期です。加えて、ここ数年はテレワークなどこれまでとは違う仕事のスタイルを求められるため、ご自身が自覚している以上にストレスを抱えている状況が続いているのかもしれません。イライラしたり、怒りっぽくなったりする原因の多くは睡眠不足やストレスです。それが男性ホルモンの減少にも関わるので、家族で協力して夫の心身が休まる時間を意識的につくるのもひとつの取り組みです。

なお、男性ホルモンの量は泌尿器科などで検査することができます。ただ、男性の更年期障害は性欲減退などデリケートな問題をはらむため、本人が受診をためらうケースも多いです。もし、調子が悪そうな状態が長く続くのであれば、「1回専門家に相談してみたらどう?」と優しく背中を押してあげてみてくださいね。