サンシャイン水族館が水中ドローンの深海調査で新属・新種のエビを発見「トリノアシヤドリエビ」として公表
なお、採集個体は標本化しており、館内での展示は予定していない。
●2019年より水中ドローンを用いて調整を行う
サンシャイン水族館は生物飼育や展示に活かすほか、深海についての情報を集め、発信することを目的に、静岡県駿河湾を中心に、2019年より定期的に水中ドローン(ROV:遠隔操作型の無人潜水機)を用いた深海調査を行っており、2022年12月からは、静岡県の特別 採捕許可を得て水中ドローンにアームを取り付け、深海生物採集に取り組んできた。
新属・新種のものとして論文公表されたエビは、トリノアシに共生していたことから「トリノアシヤドリエビ」と命名された。
●採集した「トリノアシヤドリエビ」個体の特徴

採集された個体は幼体(頭胸甲長1.3mm)と卵を抱えたメス(頭胸甲長3.2 mm)で、静岡県沼津市沖の駿河湾の海(水深130〜200m)に生息していたトリノアシに共生していた。深海に生息するトリノアシに共生する十脚類の記録は世界的にも大変貴重な発見である。
まだ解明されていることが少ない海域にて、水中ドローンで新たな種を発見しただけでなく、生きた状態でトリノアシに共生している姿が観察でき、記録・採集できたことは学術的にも貴重な例と言える。
現在、2個体は標本化し、千葉県立中央博物館に収蔵されている。
採集の瞬間(水中ドローンで撮影した動画)●採集に関するコメント

千葉県立中央博物館 動物学研究科長 駒井智幸(こまい ともゆき) 氏
トリノアシには共生するエビ・カニ類がいそうだと以前から注目していましたが、網を使った採集方法では途中で逃げてしまうので、なかなか確認できませんでした。今後も水中ドローンを使った調査で新しい発見がされることを期待しています。
それにしても、標本が小さく、解剖が大変でした。
サンシャイン水族館 飼育スタッフ 先山広輝(さきやま ひろき) 氏
2019年から水中ドローンで駿河湾の200m付近の深海の調査を開始し、2022年からは水中ドローンにアームを付け、生物の採集にも取り組んできました。トリノアシをメインに調査、採集をしてきましたが、数回の調査の間に新種のエビが見つかるとは思っていませんでした。2023年2月に採集した個体は小さな幼体で、トリノアシに付着したものを偶然採集できただけでしたが、同年4月の採集でトリノアシを念入りに水中ドローンで調査したところ、トリノアシに付着しているエビの姿を確認、記録することができ、そのまま採集までできました。その結果、トリノアシに共生生活している生態の解明にもつながりました。改めて、深海200m付近の海域は漁獲や混獲される生物以外の調査があまり進んでいない現状が 浮き彫りになったように思います。今後も水中ドローンを使っての調査を継続して深海の謎を解明していきたいです。
●サンシャイン水族館 ゾクゾク深海生物2024

深海生物に焦点を当てたイベント「ゾクゾク深海生物2024」。8回目の開催となる今年は、「遠いけど近い!?近づきたい!深海の世界」をテーマに様々な展示を予定している。
「トリノアシヤドリエビ」を採集した水中ドローンが撮影した深海世界の映像などが見られるイベントとなっている。会期2024年1月12日〜3月17日会場サンシャインシティ ワールドインポートマートビル・屋上 サンシャイン水族館URLhttps://sunshinecity.jp/file/aquarium/zokuzoku_deep_sea_2024/
●サンシャイン水族館の深海調査


水深200m以深の深海は、まだまだ知られていないことが多いとされている。
サンシャイン水族館では定期的な調査を通じて、深海生物の映像や生息環境など様々な情報を集めることで、生物飼育や展示に活かすほか、深海についての情報を発信し、広めることを目標としている。
2019年より小型で遠隔の操作性に優れたFulldepth社製の水中ドローンを用いた水深200m付近の深海調査を静岡県駿河湾を中心に定期的に実施しており、未知の領域を解明する研究に取り組んでいる。また、これまでの調査で得られた情報やデータを深海生物の飼育に活かしており、過去にはゾウギンザメの日本初の孵化(2020年)やメンダコの国内最長飼育(2022年)に成功した。
水中ドローンで撮影した映像
