不眠の原因は“靴下”かも…?

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 寒い日が続く中、睡眠時に暖房をつけると乾燥が気になるものの、暖房なしではなかなか寝付きにくいこともありますよね。特に冷えやすい足元を温めようと、靴下を履いて寝ている人もいるのではないでしょうか。しかし、それがかえって、快眠を妨げている可能性があるんだそうです。本記事では、パナソニックの睡眠改善インストラクター菊地真由美さんが冬の快眠術を紹介します。

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■2割が「靴下を履いて寝ている」 湯たんぽや電気毛布、パジャマの素材にも要注意

 夏でも冬でも快眠に重要なのは、何より深部体温です。脳も含めた内臓の体温である深部体温が下がることで、人は眠気が高まり、自然な眠りへと導かれます。ところが、寒いからといって、エアコンの温度を高めに設定して寝室を暖めすぎてしまうと、深部体温が下がりにくくなり、寝入りが悪くなります。逆にヒヤッとするような冷たい布団にもぐりこむと、手足の毛細血管が縮まってしまい、放熱効果が低くなるため、深部体温を下げられません。

「深部体温を効率的に下げるには、一度深部体温を上げるのがポイントです。お風呂にゆっくりと浸かって、芯から身体を温めて深部体温を上げれば、それだけ下がる体温の幅もできるので、より入眠しやすくなります。冬の場合には、夏よりもお風呂の温度を少し上げて38℃〜40℃のお湯で、15分以上入るのが基本となります。夏にシャワーばかりだったという人は、冬は特にしっかりと湯船につかる習慣をつけていきましょう」(菊地さん/以下同)

 パナソニックでは睡眠実態調査(※)によると、「快眠のために行っていることはありますか?」という設問に対して、20%の人が「靴下を履いて寝る」と回答。しかし、実はこれは快眠にとっては間違いなんだとか。

「深部体温を下げるには、手足の毛細血管からの放熱が重要なのです。靴下を履いてしまっていては、足からの放熱ができずに、深部体温が下がりにくくなり、眠りづらくなります。就寝前には履いていても大丈夫ですが、ベッドや布団に入る際には脱いでおきましょう」

 ただし、それでも足が冷たい・寒いという人には緩めのレッグウォーマーがおすすめです。レッグウォーマーなら、放熱に重要な部位である足首を締めつけずに放熱の邪魔をしないため、就寝時にも着けていて良いとのことです。

「睡眠時の衣服も注意が必要です。冬の衣類として定番のフリースですが、化繊のフリースの場合、通気性が悪いものがあります。部屋着としては問題ありませんが、そのまま寝間着として着ると、寝ている間にかいた汗がこもって、不快になるので寝間着としては向きません。綿など、通気性の良い素材の方が快眠を目指すなら最適です」

「その他に、『入眠の直前にお風呂に入る』『一晩中湯たんぽを使う』『一晩中電気毛布を使う』人も要注意です。これらも深部体温を下げる妨げになるので、一時的には温かくて快適でも、寝入りは悪くなってしまいます。電気毛布や湯たんぽを使うなら、就寝前に寝具を温めておくために使いましょう。寝具が一時的に温かくても、次第に手足から放熱されていくので入眠を邪魔しません」

 また、寝る前にお酒を飲むのも、睡眠を浅くする原因となります。深い睡眠が得られず眠りの質が悪くなります。健康な深い睡眠を得るためには、アルコールは避けた方が良いでしょう。

 深部体温の他にも、冬の就寝環境で気をつけるべきなのは「湿度」とのこと。

「就寝時は、日中よりも湿度に気をつけなければなりません。なぜなら、寝ている間は、鼻やのどの粘膜が分泌されにくくなります。さらに、湿度が低く乾燥していると粘膜を分泌する働きがより弱くなってしまうため、鼻やのどの防御力が低下し、鼻やのどが詰まってしまうのです」

 理想的な睡眠環境を実現するためには、繊細な温湿度コントロールが必要不可欠です。個人差がありますが、温度は20℃、湿度は50%前後くらいがちょうど良いと言われています。就寝時にエアコンを使うなら、設定温度は20℃前後、暖かい空気は上に向かうため、風向きは下にして稼働し続ける方が快適です。

 部屋全体をこの湿度に保つのが難しいという方は、顔周りだけのスポット的な加湿でも構いませんし、のどの保湿には寝る直前にお水を飲んだり、枕元にペットボトルなどを置いて適宜水分補給したりすることでも効果はあります。

(※)「睡眠実態調査」概要

・調査地域:全国

・調査期間:2022年11月24日〜2022年11月28日

・調査方法:インターネット調査(協力:ジャストシステム)

・調査対象:20〜60代の男女

・有効回答:550名(男性:317名、女性:233名)

■パナソニック 睡眠改善インストラクター・菊地真由美さん

パナソニック株式会社 戦略企画部 企画課

家電を使って睡眠の質を向上させるため、より専門的な知識を得たいと睡眠改善インストラクター(日本睡眠改善協議会認定)の資格を取得し、「快眠環境サポートサービス」を立ち上げる。同社内でも社員の睡眠の悩みに答える「眠りの先生」で、睡眠環境づくりに関する相談役も務めている。