通算6度目の優勝を飾った宇野昌磨【写真:矢口亨】

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フィギュアスケート全日本選手権・男子フリー

 フィギュアスケートの全日本選手権(長野・ビッグハット)は23日、男子フリーが行われ、ショートプログラム(SP)1位の宇野昌磨(トヨタ自動車)が193.35点、合計298.04点で連覇を達成した。羽生結弦、本田武史と並んで歴代2位となる通算6度目の優勝。最終組は好演技が連続する中、大トリで耐えた4分間だった。代表に内定した世界選手権へ「競技人生で最高の演技をしないと勝てない」と覚悟を示した。(取材・文=THE ANSWER編集部・宮内 宏哉)

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 ハイレベルな全日本のラストを締めた。最終グループは選手が次々にガッツボーズを繰り出すほど会心の演技が続出。一つ前の山本草太まで終わり、宇野に「僕、大丈夫か」と不安がよぎった。冒頭の4回転ループでバランスを崩す立ち上がり。ここからベテランの経験と技術が光った。

 4回転フリップは綺麗に成功。3回転アクセル、4回転トウループなども着氷し、最終滑走者としてきっちり締めた。フィニッシュ後は両手を広げて「セーフ」のジェスチャー。「全てのジャンプがもう一度やったら失敗してもおかしくない」とギリギリの状態から出た動きで、会場は笑いと労いの拍手に包まれた。

「ここまで(他の選手が)最高の演技、最高の試合で、僕が大コケして、優勝を逃すのも試合の一つかもしれないけれど、僕もいい演技をすることがこの試合を最高のものにするという思いがあった」

マリニンらとの戦いへ「競技人生で最高の演技をしないと勝てない」

 テーマの一つに表現力を掲げた今季。競技者として、ジャンプの重要性とも向き合った。4回転ジャンプを武器とするイリア・マリニンらを上回る得点を叩き出すには、避けて通れないポイント。「競技人生に悔いを残したくない」の思いがある。

「本当は表現を頑張りたい。ジャンプ練習は嫌いじゃないけれど、調子が悪くなるとストレスでしかないので。両方頑張りたい思いはあるけれど、競技をやる以上ジャンプを頑張らないといけない。

 彼(マリニン)は僕より高い構成で、安定感がとてつもなく高い。勝つのは凄く難しいことだと思うけれど、ジャンプを限界まで調整することを視野に練習しようと思う」

 今大会優勝で、来年3月の世界選手権代表に内定。3連覇をかけた舞台になるが「3年間で一番難しい戦いになる。競技人生で最高の演技をしないと勝てないことは分かっているので」と激戦を覚悟している。「無難な演技をしても2位、3位にしかなれない。優勝を狙える、マリニン君と戦える練習をしたい」。26歳。長年日本男子を引っ張ってきた宇野が、今年も闘志を抱いて年を越す。

(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)