全日本フィギュア女子SPで演技する山下真瑚【写真:矢口亨】

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フィギュアスケート全日本選手権・女子SP

 フィギュアスケートの全日本選手権(長野・ビッグハット)は22日、女子シングルのショートプログラム(SP)などが行われた。山下真瑚(中京大)が69.92点の高得点をマークし、2位発進。演技後の取材では呼吸の重要性を語ったが、「息がすぐ止まっちゃうんですよ、真瑚は(笑)」「気を付けないといつか死んじゃう」と、天然ぶりを炸裂させたコメントを残した。

 ほんわか口調でゆっくり話す20歳の山下。氷上では滑らかに、優雅に舞った。得意の3回転ルッツ―3回転トウループの連続ジャンプを見事成功させ、2回転アクセル、3回転フリップも余裕をもって着氷した。鈴木明子さん振付の「She Is Like the Swallow」を感情込めて滑り切り、フィニッシュ後は笑顔でスタンディングオベーションを浴びた。

「滑る前から凄く楽しく、全然緊張しなくて。上手な選手がいっぱいいる中で、久しぶりに後半グループで滑れてすごく幸せだなと思った」

 フリーへ向けて重要なポイントに挙げたのは「呼吸をすること」。理由を問われると、報道陣を不思議で独特の山下ワールドに誘った。「ちょっと前にトレーニングをしていて……息がすぐ止まっちゃうんですよ、真瑚は(笑)」。一瞬、頭にクエスチョンマークが浮かんだ記者たちの笑いがその場に広がった。

集中すると呼吸が止まることも「気を付けないといつか死んじゃう…(笑)」

 もしかすると演技中の一定時間、呼吸が止まっているのではないか――。ある時気づいた真実。意識したことがなかった「吸って、吐いて」に気を付けると、そこから好調になったという。

「最後の方に息がめっちゃ切れちゃうことが多かったんですけど、全然動けないということがなくなった」。にっこり微笑み、掴んだ手ごたえを教えてくれた。

 日常生活でも集中すると呼吸が止まっていることがある。「あ、息してなかったって。気を付けないといつか死んじゃう……って思ってます(笑)」と最後までらしさ満点。ただ、フリーに向けては「(SPの)2位という順位にはビックリしてるんですけど、これで終わりじゃない」と気を引き締めた。

 2018年世界ジュニア銅メダリストで、今季の西日本選手権で初優勝を飾った実力者。演技もその言葉にも注目が集まる。

(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)