2022年11月、『大病院占拠』ロケに挑んでいた櫻井翔

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 旧ジャニーズ事務所(現SMILE-UP.)と日本テレビ。両者の蜜月時代が長すぎたあまり、いきなり関係を清算するのはさすがに難しいのかもしれないが、それにしても賛否両論を巻き起こす続編発表だったことは間違いない。

【貴重写真】『大病院占拠』や『ネメシス』での櫻井翔のオフショット

 今年1月期に日本テレビ系で放送された嵐・櫻井翔(41)主演の連続ドラマ『大病院占拠』。その続編で同じく櫻井が主人公を担う連ドラ『XXX占拠』(X部分は後日発表)が、来年1月期で放送されることが発表された。

 櫻井ファンや前作ファンからは歓迎の声が数多くあがっていたが、それに匹敵するレベルで否定的な声も噴出しているのだ。

続編発表ニュースにコメント欄は批判多数で大荒れ

 続編発表のニュースに寄せられた否定派のコメントをいくつか見ていこう。

《そんなに視聴率良くなかったと思うけど、何故続編が作られる?ネタ切れか》

《櫻井さんのドラマは映画だったり続編があるんですね?そんなに好評だったのかな? 続編やって欲しいドラマはもっと他にある気がするけど……やっぱり特別扱いなのかな?と思ってしまう》

《日本版『ダイ・ハード』を期待して『大病院占拠』を観たら、プアなストーリーに加え櫻井の大根ぶりにあっけにとられた。だから続編にも全く期待していない。時間の無駄》

《さすが日本テレビ。櫻井翔とのズブズブの関係を継続ですね》

大病院占拠』は奇怪な鬼の面をかぶった武装集団に病院が占拠されてしまい、刑事・武蔵三郎(櫻井)が鬼たちに翻弄されながらも、事件解決を目指すというストーリー。

 大病院というワンシチュエーションをメインの舞台としたチャレンジングなサスペンスだったが、さまざまな要素が低クオリティーでツッコミどころが満載の作品だった。爆破や落下のシーンでありえないトンデモ展開が起こったり、CGのクオリティーの低さに驚いたり、櫻井の演技はシリアスさが欠けていたり……とにかく粗が目立ったのだ。

 ただ、一周まわってそのあまりの質の低さがおもしろがられて、Twitter(現X)でツッコミながら視聴するスタイルが話題になってはいたし、全話の世帯平均視聴率は7%台ながらもコア視聴率はよかったようで、数字的にコケたというわけではない。

 とはいえ、大ヒットしたとも言い難い微妙なレベルだったのである。

大ヒットしたわけでもないのに続編が作られる理由

 要するに、ツッコミどころが多すぎて話題になったし、数字もそこそこ取っていたが、続編が作られるほどの大ヒットだったのか? という部分が大いに疑問なのだ。

 そこでおのずと注目されたのが、主演が旧ジャニーズの大看板である嵐のメンバーだというところ。

 旧ジャニーズ事務所と日本テレビは、『24時間テレビ』のメインパーソナリティーに毎年、旧ジャニーズタレントが抜擢されているなど、結びつきが強かったのは誰もが知るところ。

 9月と10月のジャニーズ事務所の会見までは、現在ほど風当たりは強くなっておらず、旧ジャニーズ側もテレビ局各局も楽観視。ここまでのオオゴトになるとは思っていなかったのかもしれない。

 今回の続編『XXX占拠』の制作が決定して、櫻井がブッキングされたのも、おそらく9月の会見以前だったのだろう。

 だが3月にはイギリスのBBCで故・ジャニー喜多川氏による性加害事件を報じるドキュメンタリーが放送され、4月にはカウアン・オカモト氏(27)が日本外国特派員協会で会見を開いていた。

 今から8か月ほど前にはそのような状況だったことから逆算すると、仮に続編制作の話が持ち上がっていたとしても、ストップさせられるタイミングは何度もあったように思える。

 それでも日本テレビはこの続編の制作を見送ることなく、来年1月に放送するわけだ。

続編が作られた櫻井翔主演ドラマはほかにもあった

 櫻井と日テレと言えば、2021年4月期に放送された櫻井と広瀬すずのダブル主演作『ネメシス』も思い出される。

『ネメシス』も作品自体に批判的な声が多く、視聴率などの数字もいまいちだったが、今年3月に続編となる劇場版が公開された。ドラマ版がヒットしていたわけでもないので、劇場版も当然大きな話題にならず「爆死」と報じるメディアもあったほどだ。

 大ヒットしたわけでもない『ネメシス』と『大病院占拠』の続編が制作されるのは、日本テレビが旧ジャニーズにいかに依存していたか、もしくはいかに旧ジャニーズのご機嫌を取ろうとしていたかが伺い知れるというもの。

 9月、10月の旧ジャニーズの会見以降は風向きがガラリと変わったので、さすがに日テレも今後しばらくは距離を置くだろう。

 しかし、前述したように3月にBBCでドキュメンタリーが放送されてから時間は充分あったにもかかわらず、日テレは大ヒットしたわけでもない旧ジャニーズタレント主演の続編に、ストップをかけなかったというのは揺るぎない事実なのである。

堺屋大地●コラムニスト、ライター、カウンセラー。 現在は『文春オンライン』、『CREA WEB』(文藝春秋)、『smartFLASH』(光文社)、『週刊女性PRIME』(主婦と生活社)、『日刊SPA!』などにコラムを寄稿。これまで『女子SPA!』(扶桑社)、『スゴ得』(docomo)、『IN LIFE』(楽天)などで恋愛コラムを連載。LINE公式サービス『トークCARE』では、恋愛カウンセラーとして年間1000件以上の相談を受けている(2018年6月度/カウンセラー1位)。公式Twitter:https://twitter.com/sakaiyadaichi