樋口は3回転アクセルに挑戦。失敗に終わったが完全復活への手ごたえも掴んだ【写真:矢口亨】

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GPシリーズ第6戦・NHK杯

 フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第6戦・NHK杯は25日、女子フリーが行われた。ショートプログラム(SP)11位だった樋口新葉(ノエビア)は113.51点、合計165.69点で9位だった。3回転アクセルに果敢に挑み、転倒となったが「復帰してからここまで戻せると思っていなかった。スケートそのものができることが本当に良かった」と怪我から完全復活を目指す中で収穫も得ていた。(文=THE ANSWER編集部・宮内 宏哉)

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 フィニッシュ直後のリンク中央。大阪・ラクタブドームに集まった観客から万雷の拍手を浴びた樋口は、口をポカンと開けて何とも言えない笑顔を浮かべた。

 手拍子を受けて軽快に滑っていた終盤、コレオシークエンスでまさかの転倒。「自分でもびっくりしちゃって。ちょっと外側に倒れすぎちゃったかな」。予想外の出来事に頭をかいたが、ミックスゾーンで取材に応じる表情は明るかった。

 23日の公式練習から3回転アクセルに何度もトライ。両脚着氷はあったが、完璧な成功はなかった。それがこの日、6分間練習でオーバーターンとなりながらも見事に片足で着氷。フリーの冒頭でもチャレンジし、転倒に終わったが挑戦に悔いはない。

「復帰してから初めて片足で立てた。(フリーの転倒は)タイミングがもう少し早ければ降りられたと思う。(12月の)全日本までに練習したい」

 2022年北京五輪では見事な3回転アクセルに成功して5位。団体銅メダルメンバーにもなったが、その後に右腓骨(ひこつ)の疲労骨折が判明。回復が遅れ、22-23年シーズンは全休となった。今年7月に復帰。GPシリーズ第3戦フランス杯は5位だった。

 3回転アクセルは自身の完全復活に必要な武器。今大会で「腹をくくってちゃんと挑戦する」と決めた。「初めて試合で入れたにしては最後まで滑り切れた。もっと細かい部分でプラスをもらえたり、全部跳べるようにしたい」。ジャンプミスが続いた前日のSPとは一転、言葉にも清々しさが滲んだ。

「本当に昨日と全く違う演技だったと思う。あと1か月、全日本まですごく練習しがいがあると感じられた試合になった」。完全復活まであと少し。手ごたえを年末の大一番に繋げる。

(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)