宇野は100点超えも2位発進。ワンツーフィニッシュを決めた鍵山を絶賛した【写真:矢口亨】

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GPシリーズ第6戦・NHK杯

 フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第6戦・NHK杯が24日、大阪・東和薬品ラクタブドームで開幕。男子ショートプログラム(SP)は22年北京五輪銀メダリスト・鍵山優真(オリエンタルバイオ)が今季世界最高の105.51点、宇野昌磨(トヨタ自動車)が100.20点で日本勢のワンツー発進となった。宇野は「優真君が凄すぎた」と20歳の鍵山を絶賛。自身にとって「特別な選手」である理由も取材で明かした。(文=THE ANSWER編集部:宮内 宏哉)

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 ともに100点を上回る高得点。5.31点届かなかった宇野は、報道陣の前で鍵山の演技に賛辞を惜しまなかった。

「僕の点数が低かったというより優真君が凄すぎた。朝の氷と本番の氷は感覚が違ったので、良く合わせて凄いなと思った。ジャンプだけじゃなくすべてが上手い。全員が完璧な演技をしたら、(イリア・)マリニン君とかアダム(・シァオイムファ)君よりも上にくる選手だと僕は思っています」

 鍵山は冒頭の4回転サルコー、4回転―3回転の連続トウループを完璧に着氷。ステップ、スピンを含め、どれを取っても質の高い演技にまとめた。後半の3回転アクセルも綺麗に決め、今季のSP世界最高得点を叩き出した。

 演技を見た宇野は「完璧にやらないと超えられない点数。(自身が)4回転―3回転で詰まった時点で、ちょっと怪しいなと思った」と明かす。冒頭の4回転フリップに成功したが、続く連続ジャンプで回転不足を取られ、結果的に100.20点。2位発進にはなったものの「点数も全然悪くなく、結果と内容に満足しています。中国杯より、しっかり練習の成果が出せた」と納得の出来だった。

鍵山を「特別な選手」と表現する理由は「彼のおかげで…」

 宇野自身、鍵山を「特別な選手」だと表現する。「2年前は彼のおかげで、競技に対するモチベーションがグッと燃え上がるように火をつけてもらえた」。北京五輪前の2021年、10代だった鍵山がエネルギーを与えてくれた。五輪では鍵山が銀メダル、宇野が銅メダル。日本フィギュア男子を牽引する2人になった。

 鍵山は昨季、左足首の疲労骨折で国際大会は全て欠場。この日は会心の演技後に激しいガッツポーズも見せ、完全復活をアピールした。競争相手となる宇野だが「優真君が再びこの地に帰ってきてくれたことが嬉しい。彼にとってモチベーションになれるような選手で、今シーズン居られるようにしたい」と喜びを口にしている。

 ハイレベルな争いは「やる分にはたまらない」と笑いながらも「自分も『まだできた』と思わされる選手がいることは素晴らしいこと」と前向きにとらえている。この日の演技にはステファン・ランビエールコーチも太鼓判を押してくれた。「今まで以上に熱意がある、良かったと言葉をいただいた。(鍵山とは)勝負事というより、お互いのモチベーションになれるような選手で居続けたい」。25日のフリーでも互いに刺激を与える演技が見られるはずだ。

(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)