2層コンクリート高架はかなり存在感があります。

阪急の巨大高架化プロジェクト


淡路駅周辺で進められている連続立体交差事業(乗りものニュース編集部撮影)。

 大阪市東淀川区の阪急京都線・千里線の淡路駅周辺で、高架化の工事が続けられています。着工から15年目を迎えるなか、現地では巨大な重層的高架施設が完成に近づいています。

 淡路駅は地上ホームの2面4線の駅です。西側では大阪梅田からやってきた京都線に、地下鉄堺筋線からやってきた千里線が平面交差で合流。東側でも千里線が北千里方面へ平面分岐していきます。上下線を塞ぐ線路またぎが常態化し、ポイント切り替えのため列車が駅手前で信号待ちすることも日常風景。これらはダイヤの面でも最大のネックとなっています。

 当然ながら駅周辺の踏切は「開かずの踏切」となっており、新大阪と東淀川区をむすぶ主要ルートとして車が路地に行列となる場面も見られます。それらを解消するため「連続立体交差事業」が立ち上げられ、阪急としても平面交差を解消できるメリットがあります。

 京都線は3.3km、千里線は3.8kmが高架化され、淡路駅をはじめ崇禅寺駅、柴島駅、下新庄駅も高架化。全部で17か所の踏切が除却されます。

 高架化後の淡路駅は2階がコンコース、3階が東行き(京都方向)、4階が西行き(大阪方向)という構造。京都線と千里線が同一ホーム上で乗り換えできるのはそのままで、ホーム幅が現在よりずっと広くなります。

現地の完成具合と「完成予定」は?

 気になる工事の進み具合ですが、淡路駅の本体は外構がほぼ完成という段階まで来ています。下町情緒ただよう平面駅の風景を一変させる「要塞」といった存在感です。

 2022年初頭の段階ではまだ一部だけ外壁が見えていたのが、いまや足場も取り払われて、他の工区の完成を待っています。

 急速に進展を見せているのが、西側の千里線区間。2層構造でダイナミックに南へ曲がっていく光景は龍のようです。昨年までは途中の一部だけ工事が進んでいたのが、今や京都線への合流部までつながり、空中ジャンクションの威容となっています。

 同様に、西側の京都線区間も、淡路駅から崇禅寺駅方面へ、2層高架がニョキニョキと延伸しています。ここでは既存の地上線を通しながら真上に仮設構造物を組む方式で、昨年から京都線は「真っ暗な仮設工のトンネル」をくぐる形で、実際の構造物はまだ橋脚が上へ上へコンクリート打設されている段階でしたが、それがいよいよ高架の完成形まで到達してきています。

 いっぽう工事が遅れているのが東側です。淡路駅のすぐ東側はいまだに途切れたままで、昨年から進展を見せていません。その代わり千里線と京都線が分岐した先では、昨年に比べて大部分の高架が桁上まで完成していきています。千里線は上空を高架が覆うようになってきて、車窓の明るさにも昨年より大きく異なります。

 気になる完成予定ですが、当初は「高架切替が2017年度末、全体完成2020年度末」だったのが、2015年に7年延期。2022年にはさらに4年延び、けっきょく「高架切替が2028年度末、全体完成2031年度末」となっています。工期の大幅な遅れの原因について、大阪市は「用地確保の問題」としています。

 とはいえ、当該箇所が解決すれば、その穴を速やかに埋めることができるほどに、周囲の工事は着々と進行しています。高架完成すれば「分断状態」となっている駅周辺の往来は飛躍的にスムーズになるほか、阪急のダイヤ面でもポジティブな変化が期待されます。