楽天・松井裕樹、海外FA権行使でメジャー移籍へ 大型契約への「唯一のネック」と「移籍市場での売りポイント」とは

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楽天でクローザーとして活躍した松井。(C)CoCoKARAnext

 10月25日、楽天の松井裕樹がメジャー移籍を前提として今季中に取得した海外フリーエージェント(FA)権を行使する考えを球団側へ伝えたと球団が発表した。

 楽天は残留交渉を重ねて慰留に努めてきたが、今月30日で28歳となる左腕は年齢的にもこれが海外移籍への最初で最後のチャンスと、挑戦を決断したとみられる。今季は59試合に登板、2勝3敗、39セーブ、防御率1.57、奪三振率11.30と安定した成績を残した。

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 メジャーリーグの移籍情報に詳しい米サイト『MLB Trade Rumors』は、今月14日に松井の獲得には「少なくとも9球団が興味を示している」と報道。具体的な球団名としてパドレス、レッドソックス、カブス、ヤンキースの4球団の名前を挙げていた。

 また同サイトによると、代理人はブライアン・ミニティ氏に託す方向だという。同氏は球団フロントとしての勤務が長く、フィリーズ、ダイヤモンドバックス、ナショナルズなどでGM補佐などを歴任。最近になって代理人業に転身した。米球界の内外に精通したブレーンとなってくれそうだ。

 左のリリーバーというのは、日米いつの時代でも一定の需要がある。今オフのFA市場で見れば、最大の大物はジョシュ・ヘイダーだ。今季は61試合に登板して2勝3敗、33セーブ、防御率1.28で守護神として君臨。まだ29歳だが、その経験は長く、60試合の短縮シーズンだった2020年には13セーブでセーブ王のタイトルを獲得。すでに通算165セーブを挙げているメジャーきってのクローザーだ。今季も総額1億ドル(約150億円)以上での契約が見込まれている。

 日本のファンにもなじみのある名前で言えば、レンジャーズからFAとなるアロルディス・チャプマンだろう。人類最速左腕として長く君臨し、今季は救援左腕としてフル回転。かつての100マイル(約160.9キロ)超えの剛速球も復活し、今季はロイヤルズとレンジャーズで計61試合に登板し、6勝5敗、6セーブ、防御率3.09。ワールドシリーズ進出にも貢献し、35歳の今でもますます盛んな印象だ。

 また、気になる中継ぎ左腕で言えば、元ソフトバンクのマット・ムーアもFAとなる。今季は大谷翔平の同僚としてエンゼルスで長くプレーし、チーム解体に伴いガーディアンズ、マーリンズと9月には居場所を転々とした。34歳とベテランの域に達しているが、今季は計50試合で5勝1敗、防御率2.56の成績を残した。

 他にも実績ある左のリリーバーがFAとはなるが、共通して言えるのは総じて32〜36歳前後と高齢化が進んでいること。このグループに加わると、松井の28歳で新シーズンを迎えるという若さは大きな魅力に映る。

 唯一のネックはメジャーリーグで使用されているローリングス社製の公式球への対応だ。3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では滑りやすいボールへの適応に苦戦し、大事な場面では起用されなかった。すでに、その情報はメジャー球団にも共有されている。

 ヘイダーが各球団にとって最も欲しいタレントなのは間違いない。しかし、評価する球団によっては左のリリーバーで2番手と見るチームも現れそうだ。巨大マーケットへ打って出る決断を下した松井。思いも寄らない大型契約を手にしたとしてもおかしくはない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]