2023年9月に発表された「iPhone 15 Pro Max」には、iPhone史上最長の焦点距離を備えた5倍ズームカメラが搭載されています。そんなiPhone 15 Pro Maxで実際に撮影した写真と性能評価をカメラアプリ「Halide」の開発者であるセバスティアン・デ・ウィズ氏がまとめています。

iPhone 15 Pro Max Camera Review: Depth and Reach

https://www.lux.camera/iphone-15-pro-max-review/

iPhone 15 Pro Maxには「焦点距離13mm(35mm判換算)の12メガピクセル超広角カメラ」「焦点距離24mm(35mm判換算)の48メガピクセルメインカメラ」「焦点距離120mm(35mm判換算)の12メガピクセル5倍望遠カメラ」の3種のカメラが搭載されており、3個のカメラを組み合わせて10倍の光学ズームレンジを確保しています。ウィズ氏はそれぞれのカメラを用いて写真を撮影し、各カメラの性能をまとめています。



◆焦点距離13mm(35mm判換算)の12メガピクセル超広角カメラ

超広角カメラでは非常に広い範囲を画角に収めることが可能で、フレーミングに悩む必要なく撮影したい被写体を画角に収めることができます。



AppleはiPhone 15 Pro Maxに搭載された超広角カメラについて旧世代モデルと比べた性能向上を特にアピールしていませんが、ウィズ氏によると明るい光源を含む構図での処理が改善しており日中での撮影性能が向上したとのこと。具体的にはゴーストの発生が抑えられており、明るい光源を含む構図でも全体を鮮明に撮影できるようになりました。



◆焦点距離24mm(35mm判換算)の48メガピクセルメインカメラ

AppleはiPhone 15 Pro Maxのメインカメラについて「先進的なクアッドピクセルセンサーが被写体に合わせて作動することで、48メガピクセルを最大限に活用。暗い場所でも目を見張るほどのディテールをとらえます」とアピールしています。ウィズ氏はiPhone 15 Pro Maxについて「文句なし。素晴らしい」「iPhone 14 Proのメインカメラと同じく、『携帯電話のカメラ』ではなく『本物のカメラ』として素晴らしい写真を撮影できる」と絶賛しています。

ウィズ氏がメインカメラで撮影した作例が以下。明るい部分から暗い部分まで階調豊かに表現できています。



iPhone 15 Pro Maxのメインカメラには48メガピクセルのイメージセンサーが採用されていますが、初期設定では24メガピクセルの写真が記録されます。設定次第では48メガピクセルの写真も記録可能ですが、ウィズ氏によると48メガピクセルの写真には「ファイルサイズが大きくて容量を圧迫する」という問題が存在するとのこと。このためウィズ氏は標準状態で24メガピクセルの写真が記録されることについて「理にかなっている」と評価しています。

iPhone 15 Pro Maxでは、48メガピクセルのメインカメラを24メガピクセルのカメラとして扱うことで「2倍望遠」での撮影が可能です。まず、ズームせずに撮影した写真が以下。



同じ場所から2倍望遠で撮影した写真が以下。ウィズ氏は2倍望遠機能について「場合によってはボケの表現が期待値を下回ることがあるものの、仮想ズーム機能として驚くほど優れている」と評価しています。



◆焦点距離120mm(35mm判換算)の12メガピクセル5倍望遠カメラ

iPhone 15 Pro Maxには、焦点距離120mm(35mm判換算)のiPhone史上最長の5倍望遠カメラが搭載されています。メインカメラと5倍望遠カメラの写真を比べるとこんな感じ。まず、メインカメラで撮影した写真が以下。



そして5倍望遠カメラで撮影した写真が以下。道路の上の文字がクッキリ写っている他、道を渡る人物のシルエットも鮮明に記録できています。



さらに、5倍望遠カメラで撮影した写真の一部を切り取ったものが以下。標識やアスファルトに反射する影などに着目すると、細部まで鮮明に記録できていることが分かります。ウィズ氏は5倍望遠カメラを「Appleがこれまでに出荷した中で最も鮮明な望遠レンズ」と評価しています。



35mm判換算で120mmという焦点距離では、被写体をクッキリ記録するために「シャッター速度を速くする」「三脚でカメラを固定する」「ブレ補正機能に頼る」といったアプローチが必要になります。しかし、iPhone 15 Pro Maxでは手持ちでサッと撮影するだけでブレの少ない写真を記録可能とのこと。以下の写真は「飛行機の窓から地上の景色を撮影」というクッキリ撮影するには不向きな条件で撮影されたものですが、山肌の形状や木々まで細かく描写できています。